2021年03月 No.112 

インフォメーション 1

ロンシール工業㈱の抗ウイルス性ノーワックス床シート

優れた抗ウイルス性&ワックス不要の防汚性。
注目高まる塩ビ床材

写真:ロンシール工業㈱の抗ウイルス性ノーワックス床シート

 新型コロナウイルスの脅威が続く中、少しでも感染リスクを低減しようと様々な抗ウイルス性製品が活躍しています。ロンシール工業株式会社(大村朗社長/本社 東京都墨田区)の抗ウイルス性ノーワックス床シートもそのひとつ。優れた抗ウイルス性とワックスいらずの防汚性、という5つの性能を兼ね備えた塩ビ床材に、今、熱い注目が集まっています。

抗ウイルス性床材の進化形

 ロンシール工業は、床材や壁紙、防水シートなどの塩ビ製品を主力とする化学メーカー。その確かな技術力は、創業以来90年余に及ぶ歴史の中で数々の成果を生み出してきました(囲み参照)。
 近年は「クリーンでエコロジカルな商品開発による社会貢献」をテーマに、温暖化対策や健康・安全関連の製品に力を入れており、シート防水業界初の遮熱ルーフィングやシックハウス対策床材、抗菌床材など、注目の製品を次々に開発。2010年には、SARS(2003年)や新型インフルエンザ(2009年)の世界的流行を受け、抗ウイルス性付与技術の開発に着手し、初の抗ウイルス性ノーワックス床シート『ロンプロテクト マーブル』の発売(2013年)、その進化形である抗ウイルス性ノーワックス木目床シート『ロンプロテクト Moku』の発売(2016年)と、着実にこの分野の充実を図ってきました。

独自の配合技術開発に成功

 「弊社が抗ウイルス性付与技術の研究に取り組んだのは、生活の安全を追求する企業として、より積極的に感染症防止対策を展開していきたいと考えたため。床材開発部門では抗ウイルス性能を保持しつつ、ワックス掛け不要な汚れにくい製品の研究をスタートした。ノーワックス床材は既に2008年から発売していたが(CTシリーズ)、防汚性と抗ウイルス性を両立させるのは技術的に大変難しく、最終的には、ノーワックスコーティング層の中に抗ウイルス剤、抗菌剤を均等に分散させる配合技術の開発に成功したことで、『ロンプロテクト Moku』の発売が可能になった。2018年からは、CTシリーズにもこの技術を展開しており、現在では弊社のノーワックス床材の殆どで抗ウイルス性が標準仕様となっている」(建装事業部事業企画部長の西本真治氏)

写真:西本部長
西本部長

「ロンプロテクト」の抗ウイルス性能評価

 2種類の代表的なウイルスについて、2つの試験機関で一つずつ抗ウイルス効果の検証を行った。
 「エンベロープ(脂質膜)あり」のウイルスAでは、1時間後で99%以上の抗ウイルス効果が(左図)、また、「エンベロープなし」のウイルスBでは、24時間後で99%以上の抗ウイルス効果を得られることが確認された。

多彩な特性。「99%以上」の抗ウイルス効果

 現在、同社がラインナップしている抗ウイルス性ノーワックス床シートは、「ロンプロテクトシリーズ」と「CTシリーズ」を合わせて13製品。改めてその多彩な特性を整理すると、

  1. ① 外部研究機関で実証された抗ウイルス性能(エンベロープを有するウイルスの場合、1時間で99%以上まで低減。上図参照)
  2. ② 高い抗菌性と耐薬品性。ほとんどの製品が、シックハウス対策の低VOC(揮発性有機化合物低減)仕様。
  3. ③ ワックスを掛けなくても汚れにくく、付いた汚れも簡単に拭き取れるメンテナンス性(日常のメンテナンスは必要)。
  4. ④ コーティング層の厚みを均一にすることで実現した、40年以上の安定した耐久性(1日100人が集中歩行した場合の摩耗量を測り、コーティング層の厚みから換算)

優れた耐久性

図
コーティング層にムラがあると、
耐久性にバラつきが生じる。
図
ロンシールの床材は、均一なコーティング層により、
耐久性のバラつきを低減している。
 

 このほか、木目調や繊維調など、色柄の豊富さも大きな魅力と言えます。
 「弊社の抗ウイルス性ノーワックス床シートは、感染リスクを低減し、清掃性に優れた床材として、病院、福祉施設、学校、幼児施設など、衛生管理が必要な場所を中心に需要が伸びてきている。抗ウイルス性能というのは目に見えない効果なので、認知度が上がるまで時間が掛かったが、今回のコロナ禍でそれが飛躍的に高まった。加えて、抗ウイルス性付与技術をCTシリーズに展開したときに価格を据え置いたことも、需要を伸している要因のひとつだと思う。海外からの問い合わせも多い」(建装事業部の山田麻友氏)

写真:山田氏
山田氏
写真:作花部長
作花部長

抗ウイルス性フィルムや建材も

 同社では床材以外にも、フィルムや建材(巾木、腰壁材)などの抗ウイルス性製品を開発しています。このうち、2017年に発売された抗ウイルス性フィルム「ロンエースLP」は、一般社団法人抗菌製品技術協議会のSIAAマークを取得した製品で、「床材と同様、昨年から注目度が急上昇している。加工性がよく、ドアの把手やエレベータのボタン、小物入れなど、人の手が触れる様々な部分に利用されている」(産業資材・フィルム事業部長の作花康夫氏)
 同社は今後、一部残っている未抗ウイルス化のノーワックス床材についても抗ウイルス化していく計画で、「それぞれメインとなる機能がある中に抗ウイルス性能を付与することは設計上難しい部分もあるが、できるだけのことはやっていきたい」(西本部長)としています。

写真:「ロンエースLP」
「ロンエースLP」

塩ビ製品を牽引した、ロンシール工業㈱

 1928年、川口ゴム製作所として創業(東京都葛飾区)。戦後すぐ、日本初の塩ビシート製造に成功(1947年)した後、国鉄車輌用レザーとして同社の製品が採用されたのを機に(1949年)、事業の主軸を塩ビ製品に全面転換。1963年には、ゼロ系新幹線の床材に同社床シートが採用さている。1972年、ロンシール工業㈱に社名変更。
 現在は、建装事業部(床材)、壁装事業部(壁紙内装)、防水事業部(防水シート)、産業資材・フィルム事業部(車両用床材や機能性フィルム)、住宅事業部(住宅用システム防水)の5部門制で、我が国の産業・生活を支える様々な製品を展開している。