2006年12月 No.59
 

中越地震の塩ビ管・継手廃材
1,120トンをリサイクル

被災地の復旧に協力。塩化ビニル管・継手協会が
1年5カ月に及ぶ作業を完了
長岡市の臨時受入場
 塩化ビニル管・継手協会では、平成16年10月の新潟県中越地震で発生した塩ビ管・継手廃材の再利用に取り組んできました。被災地の長岡市・小千谷市などから排出された廃材を再生塩ビ管の原料としてマテリアルリサイクルしたもので、このほど1年5ヶ月に及ぶ作業が無事終了。この間リサイクルされた量は1,120トンに達し、被災地の復旧へ向けて、塩ビ業界もその一翼を担った恰好となりました。

●臨時中間受入場を設置  
  死者67人、家屋の全半壊はおよそ1万6千棟に達するなど、甚大な被害を記録した新潟県中越地震。長岡市などの被災地では液状化によるマンホールの浮き上がりや不等沈下で下水道管路の流下勾配が狂ってしまった地区も多く、敷設替えが必要になりました。
 塩化ビニル管・継手協会による取り組みは、下水道管敷設替え工事で発生する廃塩ビ管を有効利用して「環境配慮型の復旧工事」を実現しようという長岡市等の要請に応えたもので、昨年4月以降、隣接する小千谷市、柏崎市、川口町などの分も含めて、1年5ヶ月にわたり積極的なリサイクル作業が進められてきました。
 同協会では、平成10年から使用済み塩ビ管・継手のリサイクル事業を全国展開しており、今回の取り組みでもそのリサイクル・システムが活用されていますが、今回は特例として通常の受け入れ条件を一部緩和。規定(95センチ以下)を超える長さのものでもそのまま受け入れることとしたほか、廃材を受入れ保管する中間受入場についても、新潟市内にある従来の施設に加えて長岡市下条町の中越運送樺キ岡支店に臨時受入場を設置。また、市西部の高頭町に市が設置した集積場でも受け入れするなど、復旧を請け負う管工事会社ができるだけ持ち込みやすいよう様々な配慮がなされました。
 さらに、リサイクルするための前処理作業(ゴム輪などの異物除去と洗浄)を管工事会社に周知するため、長岡市と協力して説明会も開催しています。
中越地震復旧工事での塩ビ管・継手リサイクルフロー

 
長岡市の臨時受入場   高頭町の集積場


●再生塩ビ管が復旧にひと役
  こうして集められた塩ビ管・継手の廃材の量は合計1,120トン。これらは、埼玉県と千葉県にあるリサイクル協力会社で粉砕された後、協会の会員メーカーやリサイクル協力会社において塩ビ再生管(三層管、REP管)に加工され、すでに下水道の取付管や敷地内の排水管として、被災地の復旧にも積極的に役立てられています。なお、長岡市の臨時中間受入場は、下水道復旧工事がほぼ完了したのに伴い9月末で閉鎖していますが、同市の森民夫市長からは協会の取り組みに対して謝辞が贈られています(別掲)。
  今回の作業について塩化ビニル管・継手協会では、「2000年の鳥取県西部地震でも塩ビ管廃材のリイクルに取り組んだが、1年5カ月という長期間にわたりこれだけ大量のリサイクルを行ったのは今回が初めて。作業は、被害の規模も大きく排出量も多かった長岡市のリードで進められ、小千谷市を含む各自治体、管工事会社などとの連携も非常にスムースだった。当協会としては、震災という非常事態に際して塩ビ管廃材をリサイクルするのは業界の責任という気持ちで作業に取り組んだが、これからもできる範囲で復旧への協力は惜しまない考えだ」と述べています。

長岡市・森民夫市長からの謝辞
 平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震で被災を受けた、下水道施設の災害復旧工事の際に発生した廃塩化ビニル管の処理について、昨年の工事施工時より現在に至るまで多大なるご協力をいただき誠にありがとうございました。
  おかげ様をもちまして、本市の下水道災害復旧工事もほぼ完了することができました。
  今後とも御指導、ご協力をよろしくお願い申し上げます。


中越下水道復旧工事廃塩ビ管リサイクル量推移(平成17年5月・平成18年9月)
累計リサイクル量(協力会社持ち込みベース) 1,118トン