2022年07月 No.116 

特集 持続可能性と塩ビ レポート4

新体制で様々な社会課題解決に取り組む、
新生「塩化ビニル管・継手協会」

 塩化ビニル管・継手協会、プラスチック・マスマンホール協会、プラスチックリブパイプ協会及びC.C.BOX管路システム研究会の4団体は統合し、新生「塩化ビニル管・継手協会」が誕生。会員企業とより緊密な連携をとりながら、活動を推進していきます。今回は、同協会の鈴木謙次郎専務理事に、これからの展開と抱負を伺いました。

写真:イメージ
写真:イメージ
水道用硬質塩化ビニル管の一例

塩化ビニル管・継手協会

 塩ビ関係製品の普及促進や業界を取り巻く共通課題への対応のため、これまで個別に活動していた4団体が統合。2022年5月23日より新生「塩化ビニル管・継手協会」として誕生。これまで以上に業務の効率化・集約化と連携力・調整力向上を図りながら、安全・安心で持続可能な社会基盤整備への貢献を目指す。

連携を強化し、活動を促進

 今回の4団体統合の背景には、安心・安全で持続可能な社会基盤整備への貢献に、業界一丸となって取り組むという強い想いがあります。
 統合を機に、業務体制を刷新、強化し、関係機関への連携も深めていきます。さらに、自然災害への対応、環境負荷低減、マテリアル・リサイクルの解決という視点をこれまで以上に重視しつつ、所管製品の普及・広報事業・環境・リサイクル事業及び技術調査事業を実施し、安心、安全で持続可能な社会基盤整備の貢献により一層力を入れていきます。

幅広い社会的課題解決に向けた、製品の普及と広報

 当団体で扱う塩ビ関係製品は、様々な場面で社会インフラを支えています。
 水道分野については、経済性はもちろん、地震災害時の耐震性や、損傷の際にも資材調達・施工が容易である特性を発信しつつ、配水支管や給水管に適したRR管、耐震適合管であるRRロング管を中心に普及活動を展開していきます。
 下水道分野では、すでに普及が進んでいる小口径塩化ビニル管だけでなく、中・大口径塩化ビニル管の長期利用も検証。ライフサイクルコストの優位性をアピールし、新設・更新需要に応えていきたいと思います。
 さらに、リブ管についても、引き続き液状化問題や災害対策として有効であることをアピールし、普及に努めていきます。
 マス・マンホール分野では、雨水浸水対策や、地下水資源保全への貢献も進めています。近年多発しているゲリラ豪雨による水害や、都市化に伴う雨水浸水対策や、地下水保全の観点から、プラスチック雨水浸透桝の普及にも努めているところです。
 ケーブル保護管分野では、無電柱化推進への貢献も進めています。災害対策、交通安全対策、景観保全などの観点から、今後全国各地で無電柱化の進展が見込まれています。そこで、塩化ビニル製電力・通信用ケーブル保護管の普及・広報にも注力しています。
 無電柱化に必要な電力保護管においても、従来のCCVP管と比較して同様の性能を保ちつつもより低コスト化を追求したECVP管の普及に努めていきます。

協会一体となりpipe to pipeを促進し、持続可能な社会の実現への貢献

 地球環境への配慮や、持続可能な社会への関心がますます高まる昨今、当協会では引き続き、使用済み塩ビ管・継手の受け入れからリサイクル管の製造・販売に至る一貫リサイクルシステムのもと、水平リサイクルである「pipe to pipe」リサイクル事業を推進しています。
 pipe to pipe促進のため、協会会員会社では、リサイクル材を使ったリサイクル塩ビ管の製造・販売を実施。ここで製品化されたリサイクル管は、安定した品質のJIS規格の製品として販売されています。
 また、リサイクル管は、排水・通気用途の配管材として、グリーン購入法に認定されています。自治体、企業などリサイクル材の導入を考える皆様に対しても丁寧な説明、提案を行い、リサイクル協会会社の協力を得ながら、リサイクル塩ビ管(REP-VU)の製造・販売を進めていきたいと思います。
 今後は、我が国における2050年カーボンニュートラルの実現に向け、製品・サービスの環境への配慮がより一層市場において高く評価されることが見込まれます。
 当協会としても、塩ビ製品の原料調達から、製造、消費、廃棄までのライフサイクル全体でのエネルギー消費、温室効果ガス発生量等を見える化し、製品の環境性能の広報にも、さらに力を入れて取り組んでまいります。

写真:鈴木謙次郎専務理事

長寿命の製品を実現するため、塩化ビニル管の耐久性を検証

 当協会では、国交省、地方自治体の協力の下、長期にわたって使用された塩ビ管を掘り上げて性能評価を行っていますが、新たに、埋設された状態での塩ビ管のTVカメラ調査と管のたわみ量を精密測定し、管の変形、腐食、破損などの解析ができるプロファイラ調査を開始しています。これらの調査により、実際に利用されている塩ビ管の健全性や長期寿命の検証を進めていきます。
 塩ビ管・継手が、より持続可能な社会基盤整備を支える製品として普及していくよう、これからも引き続き技術調査をつづけていきます。

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長期にわたって使用された塩ビ管の、新たな性能評価方法として、プロファイラ調査(写真上)とTVカメラ調査(写真下)を実施。
長期にわたって使用された塩ビ管の、新たな性能評価方法として、プロファイラ調査(写真左)とTVカメラ調査(写真右)を実施。

新団体の会員

旭有機材株式会社、アロン化成株式会社、株式会社ヴァンテック、株式会社クボタケミックス、信越ポリマー株式会社、積水化学工業株式会社、タキロンシーアイ株式会社、東栄管機株式会社、日本プラスチック工業株式会社、前澤化成工業株式会社