2015年9月 No.94
 

塩ビ壁紙廃材小口回収システム、間もなく稼動

広域認定制度の導入で、小口廃棄物の回収・リサイクルを促進/日本壁装協会

塩ビ壁紙   施工現場で使われなかった壁紙(新品)   施工時に切り落とされた耳の部分
 

施工現場で使われなかった壁紙(新品)

 

施工時に切り落とされた耳の部分

  施工時の端切れ   リフォームではがされた壁紙
 

施工時の端切れ

 

リフォームではがされた壁紙

 新技術の開発で、難しいとされてきた塩ビ壁紙のリサイクルにも著しい進展が見られる昨今。リサイクルシステム構築の面でも新たな動きが始まろうとしています。今回注目するのは、一般社団法人日本壁装協会(東京都港区)の取り組み。

●強固な組織力を生かして

山下事務局長

山下事務局長

 日本壁装協会は、製造、流通、施工に至るまで、壁紙の各段階に関わる企業・団体を傘下に擁する業界の中核組織で(正会員63、準会員118)、リサイクルや廃棄物対策でも中心的役割を担っています。その業界の司令塔がいま、強固な組織力を生かして取り組もうとしているのが、9割のシェアを持つ塩ビ壁紙の新たなリサイクル・システムの開発です。本題に入る前に、塩ビ壁紙の廃棄物対策の現状について、同協会・山下洋一事務局長(常務理事)の説明を聞きます。
 「塩ビ壁紙には分別回収を容易にするための識別マーク(『∞PVC』)の表示が平成15年から義務付けられおり、リサイクルは世の中との約束と言える。塩ビ壁紙の廃棄物は、大きく分けて未使用廃棄物(工場端材・規格外品、流通端材、新築施工端材など)と使用済み廃棄物(リフォーム、解体)があり、年間の排出量は未使用3万6900トン、使用済み6万2900トンの合計およそ10万トン。使用済みが6割以上を占めるが、我々としては、まず未使用廃棄物から何とかリサイクルしていこうということで、工場端材等については製造メーカー、流通端材は流通業者の協力を得ながら取り組みを続けてきた。その結果、工場端材はサーマルリサイクルも含めて8割がリサイクルされるようになるなど一定の成果を上げることができたが、新築施工端材については、ゼネコン、プレハブメーカーなどが独自に対応している大規模工事を除き、地域から出る小口廃棄物をどうリサイクルしていくかが大きな問題として残されている」

広域認定制度とは…

 環境大臣から認定を受けた製造メーカーが、回収・リサイクルを目的に、使用済み製品を複数の都道府県にまたがって運搬する場合、地方公共団体ごとの廃棄物処理業許可を不要とする特例制度。自治体の枠を超えた広域的なリサイクル促進を目的に、改正廃棄物処理法(2003年12月1日施行)に新設された。主なメリットとして以下の点が上げられる。
・マニフェスト(産業廃棄物管理票)不要
・効率的な運搬が可能(小口対応可)
・厳しい認定基準を遵守したシステムの為、確実な適正処理が実現出来る。

●広域認定、今年度中に認可予定

 今回のリサイクル・システム開発は、この小口廃棄物(施工端材とリフォーム時の使用済み廃棄物)の問題に対応しようというもので、効率的回収を進める決め手として広域認定制度を導入したことが最大のポイント。
 「壁紙は産業廃棄物であり、その処理は排出者が責任を負うというのが大前提だが、実際には末端の施工業者に押し付けられて不法投棄などの要因になっている。中小零細な施工業者を多く抱える我々の業界にとって、これは大問題であり、解決策を環境省と相談する中で広域認定制度の可能性が検討されてきた。この制度を導入することで、中小の施工業者が抱える小口廃棄物が、地域を問わず合法的に処理できるようになる」
 協会では、1年間かけて下準備をした後、先頃環境省に申請書を提出しており、今後本受付(9月)を経て、今年度中には広域認定の認可が下りる予定。
 また、これと平行してトレーサビリティへの対応も進められています。「広域認定制度を確実に機能させるためには、誰の出した廃棄物が、いつ、どこにあるかを全部把握することが不可欠。現在、宅配便の集荷管理システムを応用したQRコードによる追跡システムを構築している」
 リサイクルの枠組みは、上の図のとおり。現場分別された施工端材、使用済み廃棄物は、データ入力したQRコードのシールを貼付した回収袋で、最寄の回収拠点(地域の2次卸が協力)に集められた後、リサイクル拠点に搬送されます。リサイクル方法としては、叩解法による粉砕・分離処理(塩ビ、紙を別途リサイクル)と、一括粉砕(猫砂などにリサイクル)の2つが考えられています。

塩ビ壁紙廃材小口回収システムの構築

●絶対に必要なシステム

 山下事務局長は「広域認定だから一応全国エリアで申請しているが、とりあえずは1都3県ぐらいのところで始めたい」とした上で、「課題となるのは、施工業者の現場分別の徹底、元請・中間業者へのPR(協会の新システムに対する認知向上)、施工業者の中のアウトサイダー対策(実態の把握)の3点。また、今回のシステムには解体現場がまったく抜けている。これは我々も手が着けられない部分で、誰が回収してどんな処理をしいるのかまるで分からない。この点は次の大きな課題になるだろう」と説明しています。
 「大企業は自分で広域認定を取れるが、規模の小さい我々の会員にそれは不可能。その仕組みを会員に代って協会が作りますから、将来にわたって少しずつでも利用していってください、というのが今回の取り組みだ。認可を取ってから完全に軌道に乗るまで数年は掛かるだろうが、協会に持っていけば合法的に処理できるんだということが理解されれば、追々処理量も増えてくるだろうと思う。とにかく、この先どう考えても国の産廃処理対策が緩和されることは考えられないので、今リサイクルに取り組まなかったら、塩ビ壁紙は世の中に貢献しない、使い捨ての材料で、サステイナブルな建材とはとても言えないということになってしまう。そういう方向を考えると、このシステムを作っておくことは絶対に必要だと思う」
 協会では、今回の取り組みによりリサイクル率20%程度のアップ(現在12%)を想定しています。