2014年6月 No.89
 

JPEC研修会、東京・大阪・名古屋で連続開催

「経営とデザイン」をメインテーマに。各地の塩ビ関係者らが熱心に聴講

 塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)主催の研修会が、東京(3月4日、如水会館)、大阪(3月6日、阪急グランドビル)、名古屋(3月13日、国際デザインセンター)で、連続開催されました。今回のメインテーマはずばり「経営とデザイン」。会にはJPEC会員団体のメンバーや塩ビに携わる関係者らが参加して(東京約60名、大阪・名古屋約40名)、貴重な示唆に富んだ講師の話に耳を傾けていました。

●デザイン力の可能性を実感

東京の研修会で講演する田中一雄氏

 セミナーは、東京・大阪・名古屋とも、まず「塩ビをめぐる最近の状況」をテーマにしたVEC関係者の講演(日本および世界各国の塩ビ需要動向や、業界一丸で取り組む「PVC Design Award」などに関する説明)でスタート。続いて、およそ90分間にわたって外部から招いた講師による講演が行われました。
 このうち東京の研修会では、(株)GKインダストリアルデザイン相談役の田中一雄氏(日本インダストリアルデザイナー協会理事長)が「経営資源としてのデザイン」と題して講演し、富山ライトレールのデザイン担当時に試みた「市民を巻き込む仕掛け作り」の話など、デザインによるビジネスモデル構築の事例を紹介。「デザインとは、生活者の潜在材的ニーズを発見して、それを機能的かつ美的にまとめること」「モノをデザインするだけでなく、使い方、機能、ネットワークづくり、企業イメージなどを含めて統一的に提案していくことで、デザインを経営資源として生かすことができる」といった言葉に、参加者はビジネスにおけるデザイン力の可能性を改めて感じ取った様子でした。

●「地域に根ざしたものづくり」の話も

大阪の研修会で講演する秋山正氏
名古屋の研修会で講演する山村真一氏

 大阪の研修会の講師は、地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター・デザイン主任研究員の秋山正氏(演題「企業経営とデザインの活用について」)。経営とデザインの新しい関係についての解説や、東京の足立区・葛飾区などで進められている「地域に根ざしたものづくり」の話などが参加者の関心を集めました。
 一方、名古屋の研修会では、工業デザインを主体としたデザイン会社(株)コボ(名古屋市昭和区)の山村真一社長が「企業戦略とデザイン」と題し、製品にデザインの力を加えることで大きく販売を伸ばした業務用洗濯機の事例などを紹介しました。
 研修終了後、各会場の参加者からは、塩ビの現在の需要の状況や新しい製品用途などに関し継続的な情報発信を望む意見や、企業とデザインの関わりについてとても参考になったとの感想が寄せられました。