2014年6月 No.89
 

下水道用塩ビ管、埋設後35年経過でも「異常なし」

習志野市の復旧工事で掘り出された塩ビ管を調査。改めて「耐久性」実証

 
調査対象となった35年使用管
(左が本管、右がマンホール継手)
 埋設後35年を経過した下水道用塩ビ管に関する性能調査の結果がまとまりました。塩化ビニル管・継手協会が、習志野市下水道課の協力により実施したもので、下水道本管や取付け管、そして接合部も含め、塩ビ管の耐久性能を改めて裏付ける結果となっています。

●接着受口タイプの調査も

ゴム輪接合部の負圧試験の様子

 長期埋設塩ビ管に関する過去の調査としては、塩化ビニル管・継手協会が名古屋市で掘り出された30年使用管を対象に実施した調査(平成22年)が知られており、その結果からも塩ビ管が埋設後30年を過ぎてなお設計当初の性能を維持することが確認されています。
 今回の調査はその第2弾となるもので、対象となったのは、東日本大震災の復旧工事に伴って習志野市の団地から掘り出された35年使用管(マンホール継手を含む下水道本管<VU250>と取付け管<VU150>)。名古屋市の調査と比べて、@埋設期間が5年長いこと、A接合部が接着受口タイプとゴム輪受口タイプ(マンホール継手)の本管両方について性能評価を行ったこと(名古屋市の調査はゴム輪受口タイプのみ)、B埋設現場が埋立地区で、東日本大震災も含めて過去の地震の影響も想定されたこと、などの点が大きな違いとなっています。

●さらなるデータ蓄積に取り組む

調査結果のまとめ

 塩ビ本管・取付け管は、引張降伏強さ、偏平線荷重、耐薬品性等、全ての試験において新管の規格値と比較しても遜色はなかった。
 ゴム輪接合部及び接着接合部の性能は、JSWAS K-1(日本下水道協会規格)及びAS19(協会規格)に定める試験の結果、新管の規格値を満足しており、またゴム輪については、一部の試験で物性の低下が見られたものの、接合部耐圧性能が確保できていた点から実用上の問題はないと考えられる。
 以上の結果は、下水道用硬質塩化ビニル管の長期耐久性を実証するものと推察する。

 調査では、本管・取付け管の性能(引張降伏強さ、耐薬品性など)はもちろん、接合部の耐負圧性や耐水圧性、ゴム輪の引張強さや耐老化性、さらにはテレビカメラによる管路内面の観察まで詳細な評価が行われており、地震の被害で発生したたわみ以外は「異常は認められず、下水道管路として実用上の間題はない」ことが確認されました(「調査結果のまとめ」参照)。
 この結果について、塩化ビニル管・継手協会では「塩ビ管は化学変化がない限り、機械的強度も物理的強度も問題ないことは広く知られていると思うが、今回は特に、35年という長期埋設によっても接着受口タイプの気密性、水密性が完全に保たれると分かったことが大きい。今後さらなるデータの蓄積に取り組みたい」と話しています。