2013年6月 No.85
 

日本の塩ビ管市場動向を紹介
(塩化ビニル管・継手協会)

「Vinyl India-2013」開く(4月、ムンバイ)。ヒートアップするインドの塩ビ事情

盛況だった会議の模様
会場はムンバイのグランド・ハイアットホテル
日本の塩ビ管事情を報告する塩化ビニル管・継手協会の石崎部長(4月12日)
 インドの化学品および石油化学品製造社協会(CPMA)が主催する第3回「Vinyl India」(3rd International PVC & Chlor−Alkali Conference) が4月11、12日の2日間、インドのムンバイで開催されました。「Vinyl India」は、内外の塩ビ情報をインド国内の関連業界・企業に伝えるため、CPMAが毎年開いているもので、今回は欧州・中国等の海外組も含め約600名が出席。各国の講演などをめぐって活発な会議を繰り広げました。以下、日本から参加した塩化ビニル管・継手協会の石崎光一総務部長の報告をもとに会議の概要をまとめました。

●成長著しいインドの勢い

熱心に聴き入る参加者
講演終了後、主催者から記念の
盾を受ける石崎部長
 石崎部長の話によれば、「『Vinyl India』には、これまで塩ビ工業・環境協会(VEC)がCPMAから講演依頼を受けて参加してきたが、今回は依頼テーマが『塩ビ管について』だったことから、VECからの要請もあって当協会が参加することになった。インドの塩ビ業界は、世界の先端情報を吸収しようとする意欲が非常に強く、今回の会議の雰囲気からも、経済成長著しいインドの勢いを十分に感じ取ることができた」とのことです。
 石崎部長の講演は4月12日の午後に行われ、「種類及び用途」「注目すべき動向及び対応」「リサイクル事業」「普及に向けた連携」などの項目に分けて、「日本の塩ビ管・継手の市場の動向」について、詳しい現状が報告されました。

●「新製品・新技術」が最大の関心事

 講演の中で、石崎部長が強調したのは、@日本では巨大地震の頻発とインフラの老朽化が課題となっていること、Aこのため塩ビ管業界でも耐震化に向けた対応と長期使用品評価等による耐久性確認に注力していること、B具体策として耐震化についてはRRロング管の開発、老朽化については長期埋設管の物性調査により30年以上の物性維持を確認していること、C塩ビ管を普及する上で特に重要なのは、「製品単体の供給」だけでなく「信頼性ある管路システム」であること、など。
 更なる経済発展が予測されるインドでは、「新製品・新技術」がいま一番の関心事となっており、「耐震性」「耐久性」「リサイクル」といった問題への反応は「それほど強いものではなかった」とのことですが、石崎部長は「こうした問題は、インドでもいずれは考えなければならないテーマになる」として、「今回日本の塩ビ管市場の動向としてそれらの情報を詳しく提供できたことは意義があったと思う」と語っています。

●急増続くインドでの塩ビ需要

<拡大図>

インドにおけるプラスチックの種類別消費割合(2010)
<拡大図>

インドにおける塩ビの用途別消費比率
(2010)
<拡大図>

 一方、今度の会議で報告されたインドのプラスチック状況をまとめてみると、
@インドにおけるプラスチック消費量は、1970年の9万8000トンから2010年の860万トンと凄まじい勢いで増え続けている。
A塩ビの消費量は2010年の実績で200万トン強(24.8%)と、PPに次いで2番目。塩ビ需要は急速に伸びているので、地方の生産は需要に追いつかず、大量に輸入している。
B塩ビの用途の70%が塩ビ管で、世界の標準の43%程度に対して、圧倒的に塩ビ管としての使用比率が高いのが大きな特徴。
C加工業者は新製品・技術に積極的に投資して、塩ビ管の下水道を作っているが、海外からの低価格製品による厳しい競争に晒されており、古い管の更生なども課題になっている。
D耐熱用のC−PVC(塩素化塩ビ)パイプに対する関心が高く、日本、中国などから原料を輸入してC−PVCの製造が行われている。
E塩ビのリサイクルも徐々にはじまっており、異物を自動除去するシステム開発なども進められている。
などの点が上げられます。

●ますます目が離せない国

 今後のインドと日本の塩ビ業界との連携について石崎部長は、「塩ビ管の使用割合が高いこともあってか、コーヒーブレークの間にも『塩ビ管は日本ではポピュラーか』『C−PVCについて興味がある』『管路システムについての支援を期待したい』などと積極的に話かけてくるインドの関係者が多かった。管路システム構築などについては日本との技術提携の可能性もあり、今後、インドからますます目を離せない状況が続くと思う」と、話しています。