2010年6月 No.73
 

ファン急増!
塩ビ製テントをファッションバッグにリサイクル

太陽工業の「MAKTANK」。女性・若者を魅了する
“世界にひとつ”のエコグッズ

 塩ビテントをリサイクルしたファッションバッグ「MAKTANK(マクタンク)」が、いま巷の話題。大型テント・膜構造物メーカーの太陽工業(株)(本社大阪市淀川区)が開発したもので、「世界にたったひとつ」のレアモノ感覚が受けて全国にファンが急増中。塩ビのリサイクル製品にまたひとつ新しい仲間が加わりました。

●独創的、ハイクオリティの手作り一品もの

  使用済みテントがバックに変身

 耐候性やデザイン性に優れ、加工もしやすい塩ビは、テントや膜材料としても広く使われている素材のひとつ。その塩ビ製テントの使用済み品や、製造過程で発生するウェンツ(端切れ)などをリサイクルしたのが、話題の「MAKTANK」です。2007年5月にインターネットで発売を開始したとたん1200件を超える申し込みが殺到、用意した32個の商品が10分で完売したという“衝撃のデビュー”を果たしたことで、一気に世間の耳目を集めることに。
 ヒットの理由は、何といってもワン&オンリーのオリジナリティ。1デザイン1製品限定の上、アフターケアもシリアルナンバー付きで1個ずつ管理する念の入れよう。もうひとつは、熟練のテント職人が縫製技術の粋を尽くした手作り感とクオリティの高さ。要は、品質に支えられた「世界にたったひとつ」のバッグをさりげなく楽しむ価値観が、女性や若者に歓迎された理由と言えそうです。2008年2月には、「時代に先駆けた独創的な新製品」として、2007年度の日経優秀製品・サービス賞で環境分野の優秀賞を受賞するなど、マスコミからも高い評価が寄せられています。

● 環境対応と地元貢献策のビジネスモデル

  開発の中心人物・荒木さん

 太陽工業は、60年以上の歴史を誇る膜構造物のトップメーカー。東京ドームや埼玉スタジアム、さらには、この6月に南アフリカで開幕するFIFAワールドカップ2010でもメイン5会場のうち3会場で同社の製品が使われています。そんな会社が塩ビテントのリサイクルバッグづくりに取り組んだのはナゼ?「第1は環境対応。当社ではCO2削減の光触媒テント(光触媒の効果で室内を暑くなりにくくし空調効率を高めるテント)など様々な環境製品を扱っているが、『MAKTANK』もそうした環境対応の一環として開発したもの。第2は地元のブランドとして地域社会に貢献したかったから」と説明するのは、「MAKTANK」プロジェクトリーダーの荒木秀文さん。
 同社では、開発にあたり人事、総務、広報など畑違いの若者6人を集めてプロジェクトチームを編成。本来の仕事を終えた後の時間を利用して、4カ月掛けて検討を重ねた末に製品化にこぎつけたと言います。ちなみに、ブランド名の由来は、膜構造製品の「マク」にテントのノウハウを詰め込んだ「タンク」を合成したものとか。
 現在「MAKTANK」には、用途の違いに応じて8つのタイプ(3wayバッグなど)が揃っていますが、中には塩ビ以外の製品もあり、2008年の洞爺湖サミットでメディアセンターに使われたケナフテントをリサイクルしたバッグも大好評だったとのこと。「こういうストーリー性も付加価値として買ってもらえる。手作りなので月30個程度しか作れないが、もともと収益を上げようとは思っていないし、会社の知名度アップという点では絶大な効果を上げている」
 詳しくは専門サイト(http://www.maktank.com)へ!