2009年12月 No.71
 

広がる!塩ビ管スピーカー仲間の輪

低価格で驚異の高音質。
人気TV番組『タモリ倶楽部』も注目


谷古宇賢一さん(最新作の前で)
 本誌で初めて塩ビ管スピーカーをご紹介してから、早や5年近く(NO.52/2005年3月号)。最近では、テレビ朝日の人気番組『タモリ倶楽部』でも取り上げられるなど、塩ビ管スピーカーへの関心は深く静かに広がりつつある様子。塩ビ管スピーカーのパイオニアで、投稿サイト「集まれ、塩ビ管スピーカー」(下記)を主宰する谷古宇賢一さんのお宅(千葉県館山市)を再訪し、最近の話題などをうかがいました。(http://www5a.biglobe.ne.jp/~tyuuou/enbisp.htm


●息を呑むばかりの素晴らしさ

 塩ビ管スピーカーとは、通常の木製スピーカー・ボックスの代わりに塩ビ管を用いた「自作スピーカー」の一種。音響素材としての塩ビ管の可能性に着目した谷古宇さんが6年ほど前にご自身のホームページで紹介したことから全国のオーディオファンの間に広がったもので、そのクリアで奥行きの深い音いろは、マニアならずとも思わず息を呑むばかりの素晴らしさです。
 手作りの楽しさも塩ビ管スピーカーの魅力のひとつで、使用する塩ビ管は街のホームセンターなどで売っている一般的なものでOK。これを半分に切断し、スピーカーユニットを固定した塩ビの継手を間に挟んでつなぎ合わせれば完成、と基本構造はシンプルですが、フェルト系の吸音材を管の内部に充填したり、底部にコンクリート板などの制振材をセットしたりといった手を加えることで、音質はさにら向上。ごく普通のアンプやCDプレイヤーでも高級コンポ並みの音を楽しむことができます。
 「低価格で加工しやすい」という塩ビならではの手軽さから、最近では様々なサイズ、形状のパイプを組み合わせた多彩なアイデア作品も続々登場しています。

●タモリさんも塩ビ管スピーカーづくりに挑戦

 
こんな変りダネも
(スネークホーン)

 テレビ朝日の『タモリ倶楽部−低価格なのに高音質!塩ビ管スピーカーを作ろう!!』が放映されたのは今年の5月。番組では、出演者一同が谷古宇さんらの指導で、ノコギリで塩ビ管を切ったり、スピーカーユニットを取り付けたりして塩ビ管スピーカーづくりに挑戦。最後はみんなそろって完成品の聴き比べが行われ、オーディオマニアで知られるタモリさんも「こんな小さなスピーカーでよくこんないい音が出るね」と感心しきりの表情で聴き入っていました。
 「スタッフも含めて皆さんとても楽しそうでした。番組放映後はサイトへのアクセスが急増。『はじめて作ったけど、とてもいい音でした』といった感想もたくさん寄せられました」(谷古宇さん)
 ちなみに、昨年(2008年)の1月には、NHKの教養バラエティー番組『熱中時間』でも塩ビ管スピーカーが取り上げられています。

 
勢ぞろいした塩ビ管スピーカーの数々
(関東オフ会)

 6年前には30人程度だったサイトへの投稿仲間も、現在では120名超えるまでに拡大し、年に数回、関東、関西それぞれの地区で鑑賞会を兼ねた懇親会(オフ会)も開かれているとか。広がる塩ビ管スピーカー仲間の輪。あなたも自作の塩ビ管スピーカーで快いカルチャーショックを体験してみては如何?