2008年12月 No.67
 

欧州の塩ビ建材リサイクルを加速するRecovinylシステム

ウェブサイトの活用で収集・選別・再資源化を促進。埋立処分回避へ

 EUにおける塩ビのリサイクルが加速しています。その大きな要因として注目されているのがRecovinylシステム。使用済み塩ビ建材の回収・分別促進を狙いとしたこの新手法の実態とは?

●リサイクル8割増しの原動力

 EUの塩ビ関連業界が「持続可能な発展」をめざして2000年3月に結成したVinyl2010の2008年に発行した報告書によれば、EU 全域における2007年の塩ビのリサイクル量はおよそ15万トン、対前年80%増に達しており、Recovinyシステムが効果的に機能したことがこの大幅増の原動力と分析されています。また、Vinyl2010の参画団体であるECVM(欧州塩ビ製造者協議会。VECに相当する欧州の組織)も、今後の塩ビリサイクルに関して、Recovinylシステムを拡大する方針を示しています。

●ウェブを有効に活用
 Recovinylシステムとは、使用済み塩ビ建材の回収・選別を支援、促進するための仕組みです。収集、運搬、選別者(廃棄物処理会社や自治体など)とリサイクラー(再生事業者)がウェブサイト上(http://www.recovinyl.com/)で情報交換し、廃棄物を効率的にリサイクラーに集めることにより、これまで埋立処分されていた使用済み塩ビ建材のリサイクルを促そうというもので、ウェブを有効に活用しています。  
  このシステムに参加するには、Vinyl2010が全額出資するNPO法人のRecovinyl(本部ブラッセル)に登録し、更にリサイクラーは認定を取得する必要があります。登録事業者の手で収集、選別された使用済み塩ビ建材は認定リサイクラーによって再資源化(原料化)されますが、Recovinylはリサイクラーから再資源化終了の報告を受けた段階で、提携している監査機関の確認を得て、収集もしくは選別者に通知するなど様々な便宜を図っています。  
  欧州の多くの収集、運搬、選別事業者がこのシステムに登録し、認定されたリサイクラーによりリサイクルが進んでいます。収集される塩ビ建材は、硬質塩ビ製品では管・継手、雨樋、シャッター、窓枠、異型押出建材など、軟質塩ビ製品は電線被覆材、床材などと多岐に亘っています。  
  一方、日本ではこれとは対照的に個別製品毎にしくみがそれぞれに存在しており、管・継手や農ビなど従来からのリサイクルに加え、ここ2,3年は新しい技術によりタイルカーペットなど塩ビ複合製品の世界にもリサイクルが拡がっています。欧州の約4分の1に過ぎない日本のマーケットで、欧州全体にほぼ匹敵する使用済み塩ビ製品が実際にマテリアルリサイクルされています。つまり市場規模を考えれば、日本は欧州を上回る水準でリサイクルを行っていると言えます。

 
使用済み廃材(窓枠)【硬質】
 
再生原料【軟質】