2007年6月 No.61
 

塩ビの壁紙施工性に高い評価

壁紙施工のバイブル
『素晴らしい壁紙に素晴らしい技術』が話題

 壁装施工団体協議会の壁紙施工技術研究会が制作した『素晴らしい壁紙に素晴らしい技術』(平成17年9月発刊)が、壁紙施工技能者の間で話題となっています。両研究会が平成16年から17年にかけて実施した研究結果から、市場に流通する様々な壁紙の施工上の問題点と適切な対応策などをまとめたもので、「その成果を施工業界の共通の財産として業界の健全な発展に役立てるとともに、後進の指導・教育の資料としても利用し、壁装施工者の技術と地位の向上を図る」のが制作の狙い。本の中には、壁紙の魅力をより生かすための施工方法が具体的に記述されており、文字どおり「壁紙施工技能者のバイブル」と言うべきガイドブックとなっています。

●現場技能者が計7264点を評価

評価結果の平均値の例(ビニル系とプラスチック系の比較)

 『素晴らしい壁紙に素晴らしい技術』の内容は、第1編「壁紙の種類と施工対策の要点」と第2篇「壁紙施工性調査の報告」の2部からなり、調査結果の詳細を第2篇に、調査結果から抽出された問題点への適切な対応策を第1編にまとめた構成となっています。
 このうち、「壁紙施工性調査」は、ビニル系、無機質系、プラスチック系、紙系など市販の壁紙製品7264点(壁紙問屋協議会会員各社の見本帳の商品)を対象に、実際に施工している技能者が日ごろの作業の中でどのように感じ、どういう問題を認識しているか、チェックシートを用いて15項目(平滑度、柄合い、たたみじわ、融通性、材料扱いなど)にわたり5段階評価を行ったもので、調査には壁装施工団体協議会と日本内装仕上技能士会の会員など延べ115団体、706人が協力。壁紙の施工性について現場に直接かかわる技能者本人の評価を明らかにしている点で、前例のない貴重なデータといえます。
 調査結果からは、全15項目の評価を平均すると塩ビ壁紙の施工性の高さが改めて裏付けられたほか(図)、全体として「平滑度」「たたみじわ」など9項目について、「壁紙の特性上適切な対策を講ずる必要性の高いこと」が浮かびあがっています。

●壁紙がさらに愛用されるために

 一方、上記の問題に対する対処法を明らかにした「壁紙の種類と施工対策の要点」では、例えば「たたみじわ」については、「たたみの折り曲げをゆるやかにし、重ねる枚数を2〜3枚に制限する」「のり付け後の壁紙はプラスチックの袋や容器に入れて、乾燥が進まないようオープンタイムを取る」など具体的な方法を明記。こうした対策を、「従来から説明されていた施工方法に追補することで、より良い施工方法の確立を目指す」としています。
 塩ビをはじめとする多彩な種類の壁紙が世の中でますます愛用されていくためには、壁紙の魅力を最大に生かす施工方法を普及させることが不可欠。『素晴らしい壁紙に素晴らしい技術』は、そういう意味でも関係者必読の書と言えそうです。