2006年3月 No.56
 

 塩ビ業界、新潟中越地震の塩ビ廃材リサイクルを全面支援

  塩ビ管、塩ビ雨樋など約30トンをJFE環境 (株)でケミカルリサイクル

 

    2004年10月23日に発生した新潟中越地震で倒壊した家屋の解体廃材約30トンが、塩ビ関連4団体の手でリサイクルされました。塩ビ管や塩ビ雨樋など廃材中の塩ビ製品をJFE環境 (株)の高炉原料化設備を利用してケミカルリサイクルしたもので、塩ビ業界は今後も、震災からの復興へ向け可能な限り支援活動に取り組んでいく方針です。  

 

塩素分も鉄鋼の酸洗工程に利用

  リサイクル支援活動に参加しているのは、塩ビ工業・環境協会(VEC)、塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)、塩化ビニル管・継手協会、塩ビ雨樋協会の4団体。塩ビ業界ではこれまでも、2000年10月の鳥取県西部地震で廃棄された塩ビ建材のリサイクルを支援するなど、過去の大災害に際して様々な協力を行ってきました。
 今回の支援活動は、新潟県から「各地で保管されたままになっている災害廃棄物のうち、塩ビ製品の廃棄物を何とかリサイクルできないか」との相談を受けたことを契機に着手されたもので、事前に長岡市、小千谷市などの現地調査を行った結果、塩ビ管、塩ビ雨樋を中心に回収可能な塩ビ製品が数十トンに及ぶことが判明。VECとの共同開発で塩ビの高炉原料化事業を展開しているJFE環境 (株)の協力を取り付け
るなど、関係機関との調整を済ませた上で、その全量を無償で回収〜リサイクルする支援活動に取り組むことを決定しました。
 リサイクルの内容は、塩ビ管などで汚れの少ないものは可能な限りマテリアルリサイクルするほか、その他のものについては、JFE環境 (株)の高炉原料化設備でケミカルリサイクルするというもので、去る12月1日には新潟県小千谷市から、6日と13日には同県長岡市から、各集積場に集められた塩ビ建材が神奈川県川崎市にあるJFE環境 (株)の高炉原料化プラントに搬送され、小千谷市のものは8日に、長岡市のものについては16日に、それぞれ高炉用のコークス代替原料としてケミカルリサイクルされています。また、塩ビ中の塩素分は塩酸回収されて鉄鋼工場の酸洗工程に利用されました。
 今回回収された廃塩ビの量は、両自治体合計で約30トン。現在、両自治体の集積場に分別した廃塩ビは殆んど残っていない状況ですが、市内各地には倒壊したまま放置された廃材などがまだ残っているため、塩ビ業界では春の雪解けを待って、再度集積・分別を行い、量がまとまった段階で同様にリサイクル処理する計画。
 なお、今回の活動については、計画に参画した4団体に対して新潟県の泉田知事から感謝状が贈られています。震災という非常事態によるものとはいえ、リサイクル可能な使用済み資材を埋め立てることなくリサイクルできたことは、塩ビ業界にとっても大きな励みになったといえます。塩ビ関連業界では、今後もこうした活動を通じて震災からの復興に協力していく考えです。