2004年6月 No.49
 
人気の外断熱マンションを支える塩ビサッシの役割

優れた断熱効果で快適な省エネライフを実現。新時代のエコ住宅に不可欠の建材

  建物の外側を断熱材で覆った外断熱マンションが話題。耐久性が高く大きな省エネ効果を発揮する新時代のエコ住宅に、塩ビサッシも重要な役割を担っています。

 

●外気の影響を受けない外断熱工法

 
  外断熱工法は、もともとスウェーデンやドイツなどヨーロッパで発達した建築法で、日本では北海道を中心に最近は関東、関西地方にまで普及の動きを見せています。
 外断熱とは、グラスウール、ロックウールなどの繊維系素材や発泡系素材を使って建物を包み込むように覆う建築法で、外気の影響を受けにくく温度差による建材の伸び縮みが少ないため、建物の耐久性が高まると同時に、大きな省エネ効果が得られるのが最大の魅力。また、防湿・防音効果も飛躍的に高めることができます。
 そうした効果を実現する上でとりわけ重要なポイントとなるのが、断熱方法と開口部の性能を左右する窓枠の素材です。塩ビサッシ(塩化ビニル樹脂)は、アルミに比べ素材としての熱伝導率が1,000分の1という断熱効果で断熱窓の素材として最適であり、世界中で広く使われています。
 

●開口部の断熱には塩ビサッシが必須

 
  弁護士や建築家などが中心になって昨年秋に立ち上げたNPO法人・外断熱推進会議の堀内正純事務局長は、外断熱における塩ビサッシの重要性について次のように述べています。
 「単板ガラスの住宅の場合、冬の暖房時には全体の48%の熱が窓から失われ、逆に夏の冷房時には71%の熱が入ってくると言われるが、二重サッシにするとその損失は7割程度に減少する。開口部の断熱にとって塩ビサッシは必須の建材であり、外断熱と塩ビサッシをセットで使うことが基本的なポイントと言える」
 外断熱マンションのリリーベル・サーモス・シリーズを展開する康和地所(株)(東京都千代田区)が、この3月に都内で3棟目のモデルとして建設した「リリーベル調布国領サーモス」(調布市国領)にも、29世帯すべての窓に塩ビサッシが使われています。
 同社では現在、千代田区麹町に都内6棟目の外断熱マンションを建設中で、「今後、基本的な情報提供などにより外断熱への認知度を高める」ことで、さらに首都圏での普及拡大を図る計画。
 墨田区内のマンションに住むある女性は、「とにかく季節による温度差が少ないのが何よりうれしい。夏はエアコンで除湿冷房するとすぐ涼しくなるし、冬場は室内全体が暖かい。祖父母が2人とも冬のトイレの寒さが原因で脳梗塞を起こして亡くなっているが、外断熱だとそういう心配もない。私も風邪を引かなくなった」と、居住体験を語っています。
 今後、外断熱マンションの全国的な普及が期待される中で、快適な省エネライフを実現する不可欠の建材として塩ビサッシの出番もますます増えてきそうです。