2004年6月 No.49
 

 公的認定あいつぐ、リサイクル塩ビ管

  下水道用リサイクル三層管が(社)日本下水道協会「認定適用資器材?類」に登録。国土交通省「公共建築工事標準仕様書」〈平成16年版〉への追加指定も

    リサイクル塩ビ管に対する公的な認定があいついでいます。昨年、宅内排水用途のリサイクル管がグリーン購入の特定調達品目に指定(本誌No.45既報)されたのに続き、今年に入ってからは(社)日本下水道協会が下水道用リサイクル三層管を「認定適用資器材?類」に登録。また、国土交通省も「公共建築工事標準仕様書」に追加指定するなど、公共部門におけるリサイクル塩ビ管の需要に大きな弾みがつくものと期待されます。  

 

リサイクル塩ビ管の協会3規格

  塩化ビニル管・継手協会では、全国の工事現場などから出る使用済み塩ビ管を回収して再び塩ビ管として利用するリサイクル事業に取り組んでいます。
 その一環として、平成10年3月に排水用無圧REP管(規格番号AS58)、11年1月に建物排水用リサイクル発泡三層管(同AS59)、12年9月に下水道用リサイクル三層管(同AS62)と、3種類のリサイクル塩ビ管を規格化しており、平成15年には排水用途に限って上記3規格のリサイクル管が「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)の特定調達品目(公共資材)に追加指定されています。

 

地方公共団体等での使用が可能に

  今回、平成16年3月1日付で日本下水道協会の「認定適用資器材?類」に登録された下水道用リサイクル三層管は、外層と内層に硬質塩ビのバージン原料、中間層に使用済み塩ビ管から作られたリサイクル原料を使用して成形されたもので、リサイクル原料の使用割合は全体の約70%。
 主に下水道の取付管や公共ます・マンホールの立ち上がり部、敷地内の排水管などに利用されており、その性能も、公的機関による基本性能評価などによってJIS規格の塩ビ管とほぼ同レベルであることが確認されています。
 今回の「認定適用資器材?類」への登録に伴い、リサイクル三層管には下水道協会認定マーク(右の図参照)が付けられ、地方公共団体等で使用できるようになります。
 また、リサイクル三層管を製造・販売している協会の会員メーカー4社(アロン化成、クボタ、積水化学工業、三菱樹脂)は日本下水道協会の認定工場としての適用を受け、既にマーク付きの製品の出荷を開始しています。

 

【「認定適用資器材?類」とは】
 まだ公的規格(JIS〈日本工業規格〉やJSWAS〈日本下水道協会規格〉など)がない製品を下水道事業者が使用できるように、平成元年に制定された日本下水道協会の認定制度です。日本下水道協会が指定する下水道資器材は、当初、公的規格があることがその前提条件でしたが、下水道事業者が、新規技術、新規開発資器材をいち早く活用できるようにするため、この「認定適用資器材?類」が制定されました。
 公的規格に基づく製品ではなくても、「下水道事業者において相当な使用実績があるものまたは公的機関による技術評価がなされている」製品が対象となるため、都道府県等の下水道事業に採用される前提条件となっています。
 

 

官庁施設でのリサイクル管使用が加速

  一方、国土交通省は平成16年版の「公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)」(以下、「標準仕様書」)において、平成16年3月9日付で下水道用リサイクル三層管を公共建築排水用として追加指定しました(表1参照)。
 この「標準仕様書」は、従前の「機械設備工事共通仕様書」を改訂・統合した官庁営繕の統一基準となるもので、公共建築工事のコスト縮減や官庁施設の品質・性能等の確保などを目的に平成15年3月に制定されています。
 協会3規格のうち、リサイクル発泡三層管とREP管は既に平成13年版の「機械設備工事共通仕様書」に採用されており、今回新たにリサイクル三層管が追加指定されたことで、協会規格リサイクル塩ビ管すべてが「標準仕様書」の中に記載されたことになります。
 「標準仕様書」は国土交通省の直轄工事に適用されるほか、各省庁等の工事も原則として「標準仕様書」によることになっているため、官庁施設の建築工事におけるリサイクル塩ビ管の使用はさらに加速することが期待されます。
 表2にリサイクル塩ビ管に対する最近の公的認知状況をまとめました。こうした認知の高まりは、再生塩ビ管の環境性能の良さはもちろん、業界としてリサイクルシステムの整備を積極的に進めていることも評価のポイントとなっており、今後リサイクル塩ビ管の需要に大きなインパクトを与える動きと言えます。