2002年12月 No.43
 
建設廃棄物リサイクルの最新動向

(株)タケエイ・四街道リサイクルセンターの一貫リサイクル・システム

 収集・運搬〜中間処理〜最終処分まで独自の一貫システムの中で資源の有効利用に取り組む建設廃棄物処理業の大手(株)タケエイ(本社=東京都江戸川区西葛西)。同社の四街道リサイクルセンター(千葉県四街道市長岡272−1)に、建設廃棄物リサイクルの最新動向を取材しました。

 

■ 建設廃棄物の総合中間処理工場

 
 建設廃棄物の中でも処理の難しい建設混合廃棄物を中心に、徹底した分別で完全リサイクルの実現を追及するタケエイ。その中核施設となる四街道リサイクルセンターは、木くず破砕プラント、コンクリート再生プラント、廃プラスチック減容プラント、混合廃棄物処理プラントの四つのプラントから成る「建設廃棄物の総合中間処理工場」です。
 同社の分別作業は、第一段階である収集現場での積み込み時から既にスタートしており、木くずやダンボール、コンクリート塊、塩ビ管、その他の混合物など、現場で大まかに分別した建設廃棄物を四街道リサイクルセンターの各プラントで再生処理するまでの一貫処理システムは、文字どおり同社の技術の粋を集めたものと言えます。
 

■ 塩ビ建材もリサイクル

 
 四つのプラントのうち、廃プラスチック減容プラントの処理能力は1日4.5トン。塩ビ系廃棄物(床材や壁紙など)を除いた廃プラスチック類の減容・固化処理を行う施設で、軟質系廃プラスチックを減容機に投入、約180℃で加熱、圧縮して固形化します。これを粉砕してフレーク状にしたものが現在、住友大阪セメントでセメントの燃料として利用されています。
 塩ビ建材については、壁紙や床材の一部が川崎製鉄のガス化溶融炉でサーマルリサイクルされているほか、集荷現場で分別された塩ビ管も、性状や汚れの程度によってABCの3段階にクラス分けした後、埋め立て処分されるC品を除いて、ほぼ全量が埼玉県にあるリサイクル会社・大水産業で再生パイプにリサイクルされています。
 

■ きめ細かな分別で最終処分を大幅削減

 
 一方、混合廃棄物処理プラントは、粗選別場での選別とライン上での選別が一連のシステムとなったもので、ライン選別工程では、二段振動篩(ふるい)機や磁選機、風力選別機などの機械選別と人力による手選別を組み合わせて、金属、木くず、繊維くず、ダンボール、コンクリート塊、廃プラスチック、アルミなどが細かく選り分けられます。
 このほか、1カ月3,000トンの処理能力を有する木くず破砕プラントでは、製紙の原料やボイラー燃料などに利用されるチップ材、また、コンクリート再生プラントでは駐車場や道路の路盤材などに利用される再生砕石などが生産されます。
 タケエイでは、どうしてもリサイクルできないものだけを千葉市内に同社が所有する大木戸最終処分場などに埋め立て処分していますが、きめ細かい分別とリサイクルの取り組みによりその量は大幅に削減されています。
 

 

■ 廃プラのサーマルリサイクルが課題

 
 同社取締役の堤恵美子社長室長は、今後の課題として「現場分別のさらなる徹底」とともに「廃プラスチックの有効利用の促進」を挙げています。
 「『資源環境型社会への貢献』『廃棄物処理業から3Rソリューション事業への業態転換』を経営方針に掲げる当社にとって、プラスチックの処理は喫緊の課題。特に新しい取り組みのひとつとしてサーマルリサイクルは非常に大きなテーマだ」。
 東京都が実施するスーパーエコタウン事業への参加が決定しているタケエイでは、来年から臨海部の都有地に建設廃棄物リサイクル施設を順次整備していく中で、ごみ発電施設等との連携により、サーマルリサイクルの新たな進展も期待されます。