2000年3月 No.32
 

 特集・塩ビ建材のリサイクル

  品目ごとに着々と取り組み。塩ビ窓枠も本格的活動へ。塩ビ管では新たな発泡三層管規格も

    国の法整備などを背景に、建築廃材のリサイクルが本格化しようとしています。“寿命が長く燃えにくい”という建材として最も重要な特性を備えた塩ビは、ビルや一般家屋の建材として様々な場面で使われていますが、リサイクルへの対応も着々と進行中。ここでは、主な塩ビ建材のリサイクルの現状と併せて、本格的な活動が始まろうとしている塩ビ窓枠のリサイクル計画、新たに発泡三層管の規格が定められた塩ビ管の取り組みについても概要をご紹介します。  

1.主な塩ビ建材のリサイクル状況

建材リサイクルを促す行政の動き

  建設省が今国会に厚生省と共同提案を予定している建設リサイクル法案(建設工事に係る特定資材の再資源化等に関する法案)は、建設廃材のリサイクルを促進する大きな要因のひとつです。この法案は、産業廃棄物排出量の2割(最終処分量の4割)を占める建設廃棄物の再資源化を進めるため、コンクリート、アスファルト、木材の3品目について分別解体と再資源化を義務づけるもので、プラスチック建材は石膏ボードや金属系建材、ガラスと同様まだ義務の対象になっていないものの、近い将来その中に組み入れられていくものと思われます。
 一方、通産省は昨年暮れ、リサイクル法(再生資源の利用の促進に関する法律)に基づき、各業種別にリサイクルの推進策を定めた「業種別廃棄物処理・リサイクルガイドライン」を改定しました。新ガイドラインでは、対象業種として新たに建設資材業が追加され、塩ビ建材についても、塩ビ管・継手、塩ビ窓枠など主な品目ついてリサイクル推進の基本方針が明示されています。
 塩ビ業界は、塩ビ工業・環境協会(VEC)および当協議会(JPEC)を中心に率先して塩ビ建材のリサイクルに取り組んできましたが、こうした行政の流れを受けて、現在、各品目ごとに具体的な活動が進められています。

 

リサイクルしやすい塩ビの特性を活かして

  塩ビは、他の材料とある程度混ざっていてもリサイクルでき強度も落ちないなど、最もリサイクルに適した樹脂です。塩ビ業界では、塩ビのこうした特性を活かし、マテリアルリサイクルを中心に一部フィードストックリサイクル(高炉原料化やセメント原燃料化など)を加えて、塩ビ建材の再資源化に取り組んでいます。
(1)塩ビ管・継手 塩ビ建材の中で最もリサイクルが進んでいるのが塩ビ管・継手の分野です。現在はリサイクル拠点(全国に14社)や中間集積場の整備などを積極的に進めており、この1月には塩化ビニル管・継手協会は、低品位の塩ビ管廃材を再利用するための発泡三層管の協会規格を定めました。
(2)塩ビ窓枠(サッシ) 塩ビ窓枠については3頁の記事参照。30年を超える寿命を持つ塩ビ窓枠は、まだ使用済みの製品はほとんど出ていませんが、塩ビ業界では将来を先取りしてリサイクル技術を開発し、拠点の整備を進めています。
(3)塩ビ電線被覆材 塩ビ電線被覆材も、各地の再生業者を中心に積極的に再利用されています。また、塩ビ業界は電線総合技術センターが進める塩ビ被覆材のフィードストックリサイクル技術開発も支援しています。
(4)塩ビ床材/塩ビ壁紙/塩ビ雨樋 塩ビ床材には、既に農業用ビニル、電線被覆材、シートなどの使用済み製品が原料として大量に再利用されていますが、本年は岐阜県海津郡にリサイクル拠点を開設して活動を強化していく計画です。分離しにくい壁紙についても再利用技術の開発に具体的に取り組んでいきます。塩ビ雨樋については、建築工事で発生する雨樋の端材を再び雨樋の部材に再利用するためのテストや、回収拠点の整備についても検討が行われています。