1999年12月 No.31
 
「使用済み塩ビの受け入れ可能な焼却施設訪問調査」から
(塩ビ工業・環境協会まとめ)

全国の産廃焼却施設を訪問、使用済み塩ビの焼却処理の実情を確認

 

  塩ビ工業・環境協会(VEC)では、去る7月から9月にかけて全国の産廃焼却施設を訪問し使用済み塩ビの焼却処理の実状を調査しました。調査結果のポイントをご紹介します。

 

■ 各地域の代表的な産廃焼却施設

 

  塩ビ工業・環境協会(VEC)と塩ビ関連の各業界では現在、パイプ、農業用ビニルや電線被覆材などをはじめ、各種使用済み塩ビ製品のマテリアルリサイクルの一層の向上を目指して、リサイクルシステムの確立に取り組んでいます。
 一方、他素材と分離しにくい複合材料や混合製品等のマテリアルリサイクルに適さないもの、あるいは回収が不十分でリサイクルが行われなかった使用済み塩ビ製品などについては、他の産業廃棄物と一緒に焼却処分されています。
 今回の訪問調査は、そうした使用済み塩ビの焼却処理の実情を知ることを目的とした第1回目の調査となるものです。
 作業に当たっては、?各地域の代表的な産廃焼却施設で、?焼却処理能力として1日30トン以上の廃プラ処理ができ、?平成14年の排ガス規制にも対応できていること、の3点を条件に事前に予備調査を行い、訪問する施設を選出した後、VEC環境委員会のメンバーが数名ずつのグループに分かれて、3カ月間にわたり全国を訪問して回りました。
 訪問した焼却施設で、使用済み塩ビの受入可能な焼却施設は下記の通りでした。

 

 

■ 塩素系産廃の焼却にも問題のない設備

 
  これらの焼却施設における排気ガスのダイオキシン排出濃度は、いずれも平成14年12月からの規制に十分対応が可能なレベルとなっています。さらに、備えられた設備は、塩素成分を含む産廃の焼却にも全く問題のないものばかりでした。
 また、訪問した大半の焼却施設では使用済み塩ビ製品を産廃として受け入れており、他の産廃と混合して焼却処理できていることも分かりました。
 調査に参加したメンバーの1人は、今回の感想を次のように語っています。
 「最新の技術を盛り込んだ設備を導入して産廃の焼却処理を行っている企業を訪問できたこと、そして、焼却設備を建設中の企業をも訪問して事業の抱負を聞くことができたことは、メンバーにとって大変勉強になった。但し、一部の施設では設備の関係上、受入れ形状等に制限があるといった事情も聞かれた。また、産廃の収集運搬、焼却処分や最終処分には地方行政の種々の規制もあり、その中で周囲に迷惑が及ばないよう処理することに関係者が大変な努力をはらっていることも分かった。今回の訪問調査のために、お忙しい中で時間を割いていただいた焼却施設の関係者各位に対して厚く御礼申しあげたい」
 なお、今回訪問した中で、「廃プラの焼却処理は従来から行っているものの、新規に使用済み塩ビを受け入れるだけの余力がない」という施設は、別表の記載からは外しています。