2023年3月 No.118 

インフォメーション2

産学連携
アップサイクルプロジェクト
「カンボウプラスとSDGs」

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左から松崎雅央氏、加藤登志子教授、松本夏津子氏、久保幸子教授、小泉祐也助教

 日本初のファッション分野の専門職大学院である文化ファッション大学院大学(東京都渋谷区、以下、BFGU)とカンボウプラス株式会社が産学協同プロジェクトを開催。「素材本来の機能性を活かしたまま新しく生まれ変わらせる。廃材に新たな命を。生活に彩りを。」というコンセプトのもと、学生が作品を発表しました。
 今回はBFGU 加藤登志子教授、久保幸子教授、小泉祐也助教とカンボウプラス株式会社 松崎雅央氏(東京支店長)、松本夏津子氏(重布部)に、アップサイクルプロジェクト「カンボウプラスとSDGs」についてのお話を伺いました。

学生のアイデアを活かした商品開発、廃材問題の解決へ

―BFGUとのコラボレーションに至った経緯を教えてください。
 松崎:今回、新たに廃材を利用したアップサイクル商品企画をするため、デザイナーを探していたところ、BFGUさんにお声かけさせていただいたのがきっかけです。
 カンボウプラスはターポリン・帆布をはじめとする機能性特殊素材の製造、加工、販売を行っている会社。水産業や農業などで使用される産業資材がほとんどなので、あまり馴染みのない製品も多いと思います。
 松本:産業資材は人命を守る素材でもあるので、厳しい製品規格・基準が設けられています。だからこそ製品の状態は綺麗でも、やむなく処分されている素材がたくさんあります。できるだけ廃材を有効活用していきたいという強い思いがありました。

―BFGUのみなさんは、今回のプロジェクトにどのようなことを期待しましたか?
 加藤:本大学院では教養を深めるだけに留まらず、社会が抱える課題解決ができるような学びを経験してほしいという思いがあります。企業のニーズに合わせた製品開発を最終ゴールにした今回のプロジェクトは、本大学院が求める実践的な学びの機会になると期待しましたね。
 久保:今やファッションに関わる学生の多くが、廃棄される衣服や素材に対して問題意識を持っています。ファッションが社会に与える影響といった広い視点から物事を考えるためにも、学生にとっては大変貴重な体験になると思いました。

素材の性質に向き合い、真にサステナブルな製品を考える

商品化を目的とした小物を製作した1年次生
 1年次生:私たちはターポリンを使ったハンドバッグを制作しました。提供いただいた素材は今まで扱ったことがない質感ばかり。硬くて分厚い塩ビ系素材は、縫製の難しさがある反面、形を作りやすいという長所もあって、色々なアイデアが浮かびました。
 松本:学生の皆さんにお願いしたのは2点だけ。できるだけ裁縫しやすい設計であること、あまり高価にならないようにということでした。完成作品では、機能面や加工性を考えて、かなりこだわって工夫しながら自社製品を使ってもらえたので嬉しかったですね。

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カンボウプラスの塩ビ系素材を使用した1年次生の作品
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「思い入れのある大好きな作品になった」と語る1年次生

機能性を活かした「WORK WEAR」(作業着)を考案した2年次生
 松崎:滑り止めや工事現場の防音シートなど、これまでファッションとは結び付かなかった素材がデコレーションの一部として使用されていたので非常に驚きましたね。素材の機能や使用用途などの既成概念にとらわれていた私たちでは、思いつかない素材の組み合わせが見られました。
 2年次生:提供いただいた塩ビ系素材は外側からの曲げや折りに強いので、仕事着に非常に向いている印象です。良質で丈夫な服を通して、「ものを長く大事に使おう」と服を着る人の意識が変わることこそが、サステナブルな暮らしにつながると感じました。

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2年次生が制作した庭師の仕事着
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防塵ネットをポケット部分に使用

―産学協同プロジェクトでの経験は今後どのように活かせるでしょうか?
 松崎:学生さんは生分解性素材やリサイクル素材などサステナブルな製品づくりに高い関心があるようでした。当社としても、リサイクルを前提とした製品開発に取り組んでいきたい。例えば、塩ビ部分の可塑剤を減らして純粋な原料に近い形で使用したり、樹脂原料を統一して分別しやすくするなど、製品改良を続けていきたいですね。