2022年04月 No.115 

リサイクルの現場から

積み重ねた成形技術と
コンパウンド技術のコラボで生まれた
「レンブロック®キャンバス」

 

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レンブロック®

 自由に組み合わせるだけで気軽におしゃれなインテリアを楽しめる「レンブロック®」。
1つ約135gと軽量でありながらも、面での対荷重は300kgの耐久性。一つ一つに異なる表面の風合いがあり、DIYも可能なブロックです。
 そのシリーズの一つとして生まれたのが、「レンブロック®キャンバス」。PVCが含まれた壁紙の再利用素材を活用した、人にも環境にも優しい製品です。
 今回は、製作に携わった𠮷山プラスチック工業株式会社(以下、𠮷山プラスチック)代表取締役 𠮷山務さん、株式会社照和樹脂 コンパウンド事業部 開発部部長 濱川晃さんから話を伺いました。

積み重ねてきた技術力とノウハウで、お客様に貢献

―𠮷山プラスチックさんはどのような会社でしょうか。
 𠮷山:日用品から医療用製品まで、幅広いプラスチック製品の成形や、プラスチックの成形に必要な金型の製作を行なっています。
 高い精密成形技術を基盤に、二種類の樹脂を融合させる二色成形や、様々な製品に欠かせない多様なプラスチックのパーツを製造するなど、主に企業様のOEMを担当してまいりました。
 産学連携や、他社様のブランド製品開発に参加させていただいた際は、材木の端材や高機能木炭から作られた「バイオマスプラスチック」での製造・組み立ても実施。試行錯誤を重ねながら協力させていただきました。
 私たちは、これまで技術、設備、ノウハウ、提案力、お客様との関係性などを積み重ねてきました。その力を活かしてお客様や地域に貢献していくことが、メーカーの使命だと考えております。

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𠮷山プラスチック工業の製造設備

企業と人の熱意が育んだ、壁紙が原料のレンブロック®

―「レンブロック®」について教えてください。
 𠮷山:弊社はOEMを中心に担ってきましたが、2007年ごろから自社製品としてレンブロック®の開発を行ってきました。出発点は、私自身のレンガへの強い憧れ。レンガの風合いが好きで、例えば富岡製糸工場のレンガ造りの外観はとても素晴らしいと思います。だから着想の元であるレンガを思わせるサイズ、テクスチャ―に仕上げ、連想・連結・連携の意味を込めて「レンブロック®」と名付けました。
 レンブロック®は軽く丈夫で、弾力もあります。もともとはインテリア素材として開発していましたが、子どもたちのおもちゃとしても需要があります。大人から子どもまで、皆さんに愛される商品になってほしいですね。
 これまで、いろいろな素材を活用してレンブロック®を開発してきました。そして今回、照和樹脂さんと共同で開発した「レンブロック®キャンバス」は、廃棄されたPVC素材の壁紙を練り込んで成形した製品です。

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𠮷山 代表取締役     照和樹脂 濱川さん

―𠮷山プラスチックさんと照和樹脂さんが連携した経緯を教えてください。
 濱川:照和樹脂は、包材事業、コンパウンド事業、環境事業を柱として展開しています。中でもコンパウンド事業では、半世紀に渡り、硬質塩ビリサイクル事業に携わり、安定したリサイクルPVC(エコパウンド®)を提供し続けてきました。
 多くのPVC製品がリサイクルできる一方、PVC素材の壁紙は、長年リサイクル方法を見いだせない製品でした。壁紙は、PVCと紙が一体化しているためリサイクルが難しく、これまでは埋め立て処分せざるを得なかったんです。
 そこで、弊社は独自のコンパウンド技術を開発し、PVCの壁紙を再生塩ビコンパウンドとして使用可能にしました。再生塩ビコンパウンドは、工事現場で使われる安全マットの材料として使われた実績があります。さらに、一般のお客様にも親しんでいただける製品の材料として使えないかと考え、かねてよりお取引させていただいていた𠮷山プラスチックさまに相談させていただきました。
 PVC壁紙が元になっているレンブロック®を製造するのは初のことでしたが、商品開発を快諾していただけました。最終的に、壁紙のリサイクル材を70%ほど練り込んだ「レンブロック®キャンバス」が誕生しました。
 𠮷山: 全く新しいものを作ろうとしたものですから、地道にトライアンドエラーを繰り返しながら商品開発を進めるしかありませんでした。それでも、熱意を持って一緒に仕事に取り組んでくれた社員や会社はかけがえのない存在だと思います。だからこそ、機械が壊れてしまうのを承知で様々な製造テストを行い、現在の完成品にこぎつけました。

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照和樹脂 コンパウンド製造工程
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コンパウンド製造設備

リサイクルとものづくりを通して、業界と社会に対して貢献

―これから取り組んでいきたいことを教えてください。
 濱川:私たちが目指すものの一つは、業界として、社会貢献やSDGsにつながるような取り組みを進めていくことです。今回のように、リサイクル技術で生まれた素材で製品を作り、たくさんの人々に見て、触れてもらうことで、PVCの可能性も認知されるのではないかと思います。
 𠮷山:私たちがこれから挑戦したいのは、良い企業、良いものづくり同士のコラボレーションですね。PVCを扱う企業同士の協力や、異業種との協業で行う製造や、新たなレンブロック®の開発から、業界の新たな展開が続いていくはずです。
 意欲のある企業や作り手が手を取り合うことで、優秀な技術や人材が残り、企業や業界が長く続いていけるのではないでしょうか。
 そしてOEMの企業としては、今後はより積極的に国産製品の技術に関わりたいと考えています。日本国内で質の高い物作りを続けるためにさらに実績を積んでいきたいですね。そして日本の製造業を盛り上げられれば良いなと思っています。

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照和樹脂のリサイクル事業拠点 つくば工場