1994年12月 No.11
 
塩ビも燃やせる小型焼却炉

(株)ダイトーとエネルギー・資源回収WGが共同研究

 

  焼却炉メーカーのダイトー(本社:愛知県瀬戸市暁町3−96、TEL. 0561-86-9101)は、このほど塩ビ含有率20%程度の廃棄物であれば完全に無害化処理できる小型焼却炉の開発に見通しをつけ、この研究成果をもとに改良型焼却炉の商品化に着手する方針を明らかにしました。
 能力の割には価格的にも低水準のシステムとなる見込みで、厨芥や雑芥などの自前処理をめざす事業者にとっては大きな朗報となりそうです。

■ 学校、病院などの自前焼却に威力

 
  今回の研究は、当協議会のエネルギー・資源回収ワーキンググループとの連携で取り組まれたもので、小型焼却炉の分野で多くの実績を持つダイトーと同ワーキンググループが、「人手をかけずに1日当たり100kg程度の塩ビ含有廃棄物が処理できる焼却炉であること」をテーマに研究を進めてきました。
  人手を省くためには、ごみの一括投入後は無人のまま放置しておけるタイプの炉であることが前提となりますが、この場合、塩ビ含有廃棄物を燃やすとスタート直後に塩化水素ガスが集中的に発生し、その後急速に減少することが今回の研究で初めて明らかになりました。小型焼却炉のポイントは、発生する塩化水素を吸収する機能として、ダイトーが開発したブロック状のAFアルカリフィルタと呼ばれるものを炉内に搭載した点にあります。
  AFアルカリフィルタは、アルカリの中和反応によって約70%の効率で塩化水素を除去する能力を持っており、これを炉の煙突内部にセットすることにより、大きな専用設備を不要としていいるのです。研究では塩ビの含有率を10%〜50%まで5段階に分けて実験が行われましたが、この結果、含有率10%程度ならフィルタ1段で十分に処理できること、また、20%程度の場合は、フィルタを多段化するなどの改善を加えることで小型の炉でも確実に処理できる可能性が見いだされました。
  ダイトーでは、この研究成果を踏まえて近々塩ビ含有率20%程度の廃棄物を完全に無害化処理できる改良型焼却炉を商品化する計画ですが、この新型炉が登場すれば、企業や病院、学校、自治体の施設などで大きな威力を発揮することが期待されます。