2019年7月 No.107 

インフォメーション 2

東ビ商新理事長、福榮産業㈱
福澤社長にインタビュー

「組合員と共に業界を元気にしたい」
製品づくりでは日本製へのこだわりも

東ビ商組合員会社のサンプル帳

東ビ商組合員会社のサンプル帳。
どれも手の込んだ作りで、セールスへの気合いを感じさせる。

福榮産業㈱(福澤成能社長、東京台東区)の福澤社長が、今年から東京ビニール商業協同組合(以下、東ビ商)の理事長に就任しました。塩ビシートの卸から始まって各種プラスチック製品の製造販売、OEM生産へと事業を拡大してきた同社の舵取りを担う一方で、組合の理事長としても積極的な活動を続ける福澤社長に、組合運営の課題や事業の現状についてお話しいただきました。「当社の事業のことよりも、組合活動の話を中心に」という言葉に、組合活動を通じて業界全体を元気にしたいという強い思いがうかがわれました。

「東ビ商」のことで頭がいっぱい

 東京ビニール商業協同組合(以下、東ビ商)は、首都圏で塩ビを中心とする各種プラスチックの材料卸や製品の販売に携わる企業の団体です(所在地は台東区浅草橋)。設立は1953年。今年で67年目という長い歴史を誇ります。現在の組合員数は正組合員26社、賛助会員12社。内部の組織として、フィルム、レザー、雑貨の3部会と次世代若手リーダーのグループ・睦会があり、それぞれ個別に活動しながら組合活動を支えています。
 組合の現状について、福澤社長は次のように説明しています。
 「今年の2月から東ビ商の理事長に就任しました。我々の業界は近年、後継者難による廃業や会社の統合などが増えていて、組合員の数も減少傾向にある。そんな状況の中、組合員同士協力し合ってやっていこうとみんな頑張っているので、私としても何とか業界を盛り立てていきたいと思っています。今はそのことで頭がいっぱいです」

福澤社長
福澤社長

得意分野を出し合って協力し合う

 東ビ商の活動の基本は、組合員の交流と親睦を深め、情報交換を促進すること。その一環として、新年の賀詞交歓会をはじめ、勉強会や講演会などを毎年開催しており、最近の講演会では、中小企業関連法や働き方改革法など、企業経営に役立つタイムリーなテーマを選んで講師を招いています。
 「組合内の3部会と若手の睦会も交流の場として機能しているが、みんなビニール中心に長く事業を続けてきた会社ばかりなので、それぞれに得意分野があり、棲み分けが出来ている。従って、何か革新的な技術開発といった話をするよりも、それぞれの得意分野を生かして一緒に何かやろうとか、他社の製品を融通してもらったりといった相談をすることが多い。市場全体がシュリンクしていく中で、お互いが活路を見いだすためにも得意分野を出し合って協力していこうという気持ちになっているのだと思う。睦会のメンバーに話を聞くと、同業なので初めは遠慮もあったが、最近は集まるのが楽しくなってきた、と前向きな言葉が出てくる」
 福澤社長は、「PVC Awardなど塩ビ業界が行うPR活動とも連携しながら、東ビ商の活性化のために積極的に取り組んでいきたい」としています

東ビ商を支える組合員企業
■組合員 26社 ■賛助会員 12社
㈱愛和 束京シンコーレザー㈱ アキレス㈱
アキレスコアテック㈱ ㈱中川商店 ㈱イノベックス
㈱荒井商店 ニックス㈱ オカモト㈱
石塚㈱ 日精プラステック㈱ サンビック㈱
オカモト化成品㈱ 福榮産業㈱ 龍田化学㈱
協和繊維㈱ ㈱フタバ木田 ダイヤプラスフィルム㈱
㈱グロー ㈱北海 ㈱タツノ化学
三協化成産業㈱ ミツワ㈱ 東和合成工業㈱
三鬼化成㈱ ㈱明方堂 日本ビニル工業㈱
㈱三洋 森松㈱ 丸喜化学工業㈱
白金化成㈱ ㈱山川 明和グラビア㈱
大六レザー㈱ ㈱ヤマプラス リケンテクノス㈱
玉田㈱ ㈱米山 (五十音順)
新年の賀詞交歓会
新年の賀詞交歓会も組合員相互の交流を深める大切なイベント

苦境を乗り越えて

 福榮産業は1956年、福澤社長の父・福澤年雄氏が設立した会社で、今年で創業63年を迎えます。
 「当初は塩ビシートの卸がメインだったが、エンドユーザー(製品メーカー)からシートの型抜きや印刷などを頼まれるようになり、昭和45年ごろから加工屋さんの工場と提携して製品づくり手掛けるようになった。その後、素材の知識をさらに役立たせるためにOEM生産もスタートした」
 福澤社長が家業を継いだのは1996年。弱冠28歳での社長就任でしたが、半年後に年雄氏が病で他界した上、ダイオキシン問題が高まった際には、その煽りを受けて「塩ビを使い続けてもらうためにエンドユーザーを説得して回ったこともあった」といいます。
 そうした苦境を乗り越えて同社の事業は成長を続け、現在ではオーダーメイドを含めて、バッグ、文具・教材用品から生活用品まで、同社の製品はまさに多種多様。扱う樹脂の種類もPVCレザー、PP、ポリエチレン、ポリエステルなど多岐にわたります。

「社長になったころは大変でした」
「社長になったころは大変でした」

日本でできるものは日本で

 福澤社長は、今後の経営方針について「日本でできるものは日本で」として、日本製へのこだわりも捨てていません。
 「特殊な用途では、ターポリン製の放送機材用防水ショルダーバッグが日本製。特殊用途なので手間は掛かるが、多少高くても売れる製品だ」
 珍しいのが内視鏡用サポートシート。内視鏡挿入時に臀部をカバーするもので、塩ビ製なので強度も十分。使い捨てなので清潔感もあり、量的にもまとまった需要が期待できます。
 「こうした、なくてはならないものに塩ビが使われているということは、業界にとって大きい。日本でできるものは日本で、という方針を維持していきたい」と福澤社長は言います。

内視鏡サポートシート防水
内視鏡サポートシート防水
防水ショルダーバッグ
防水ショルダーバッグ