1994年6月 No.9
 
塩ビ含有廃プラで無公害・高効率発電

プラ処理協と荏原製作所が共同実験、実用性を確認

 

  (社)プラスチック処理促進協会は、(株)荏原製作所と共同で昨年から塩ビを含む都市ごみ廃プラスチックの燃焼エネルギー回収実験(廃プラスチック専焼エネルギー回収方式の実証実験)を進めてきましたが、このほど廃プラスチックだけを燃やしても炉を傷めずに「無公害・高効率でエネルギー回収できる見通しを得た」とする実験結果を発表し、関係者の期待を集めています。
 
  都市ごみ中の廃プラスチック処理については、前項でご紹介した船橋市のように、燃えるごみとして収集・焼却し、そのエネルギー回収に取り組む例がある一方、「有害ガスや煤が出る」「クリンカーが発生して炉を傷める」などの理由で未だに埋め立て処理されるケースも多く見られます。
  プラ処理協の実証実験は、こうした埋め立て処理されている廃プラスチックを実用規模のごみ発電焼却炉で燃焼させ、1.廃プラスチックは本当に燃焼に不適切なものか、2.現在の技術力でどの程度の無公害焼却・高効率エネルギー回収が可能なのか、の2点について技術データを採取、確認しようとしたもので、船橋市など自治体の焼却施設建設で実績のある荏原製作所の協力を得て、昨年秋から取り組みをスタート。同製作所藤沢工場の流動床式焼却設備(処理能力1日30トン)を用いて、秋、冬、春の3回に分けて延べ300時間に及ぶ専焼実験(24時間連続運転)を繰り返した結果、1.排ガス測定値は煤塵、NOx、SOx、塩化水素とも大気汚染防止法の基準以下、2.重金属類の発生は認められずダイオキシンは厚生省ガイドラインの5分の1、3.クリンカーの発生も少なく、4.エネルギー回収効率は、処理量に関係なくボイラー効率87.1%、発電端効率19.1〜19.9%に達する、などの点が確認されたものです。
  実験原料には、現在埋め立て処理されている埼玉県桶川市の分別廃プラスチックが使用されていますが(塩ビ含有率約10%)、いずれにしても、今回のように直接焼却による廃プラ発電の実用性が技術的に実証されたことは、当協議会が進める熱分解によるエネルギー回収の研究と並んで、サーマルリサイクルの可能性を広げるものとして大いに注目されます。