1993年9月 No.6
 

 平成5年度事業計画の概要

 4つの作業グループ軸に再利用システム完成めざす

  −新たに調査事業もスタート−

 

    塩化ビニルリサイクル推進協議会の平成5年度事業計画が決まりました今年度も4つのワーキンググループ(WG)と広報事業、調査事業(新規)の連携により、リサイクルシステムの完成と塩ビへの理解促進をめざして積極的な活動を展開していきます。以下にその要点をまとめてみました。  

 

塩ビボトルリサイクルWG −600t規模のモデル事業プランを立案

  今年度は、年間600トン規模のリサイクルモデル事業プランを立案することが最大の目標です。そのために、回収、処理、再利用、広報の4つのワーキンググループからなる推進委員会体制を整備して諸活動を推進していきます。
  1.回収WG=減容機ボトルボーイを軸にした使用済みボトルフレークの回収システムづくりを継続する。平成6年3月までに100トンの回収実績を挙げることを目標に、併せて回収ルートの実態調査なども実施する(ボトルボーイも新たに10台取得する予定)。
  2.処理WG=回収した100トンのフレークの処理などを実施する。
  3.再利用WG=処理フレークの用途開発と用途別販売計画の策定を行う。
  4.広報WG=回収業務推進のための広報PR活動などを実施する。

 

卵パックリサイクルWG −回収協力店を倍増、回収量も月300?に拡大

  回収事業、店頭設置型減容機の開発、微粉砕設備の設置が今年度の3本柱です。
  1.岡山生協東川原店と長野市のサニースーパーチェーンの協力で実施している卵パック回収実験の輪を、両地域を核として更に拡大する(回収店舗は現在の15店から30店に、回収量は月100sから300sに)。
  2.回収作業上最大のネックである回収品の詰替え梱包作業を簡略化するため、店頭設置型の減容機の開発を進めるほか、運賃のコスト低減も検討する。
  3.回収品に混入した異物(ホチキスの針等)の選別行程を省くため、回収品を丸ごと微粉砕できる設備を設置しコマーシャルベースでの検討を進める。
 

 

塩ビ管リサイクルWG −モデル都市選び塩ビ管残材の発生量などを調査

  塩ビ管廃材のリサイクルシステムづくりのため、以下の事業を実施します。
  1.前年度に引き続き、工事現場における塩ビ管残材の発生量とその品質に関する調査を、全国4〜6カ所のモデル都市を選定して実施する。
  2.再生塩ビ管の品質、外観の把握などリサイクル技術の研究・開発を継続する。
  3.土砂等の異物と塩ビの分離・精製技術の研究、微粉砕処理技術の研究などにより、一貫処理技術(設備・条件等)を確立する。
  4.回収システムを確立する。

 

資源・エネルギー回収WG −無公害焼却システムのメニューを更に具体化

  無公害焼却モデルプラントの完成をめざして技術開発に取り組んでいます。今年度は、(A)焼却処理メニューの作成(昨年度からの継続)、(B)脱塩化水素の方法と油化技術の調査・検討の2つを中心に事業を進めます。
  (A)昨年度まとめられたモデルプラント基本設計の検討結果に基づいて、塩ビ混入廃棄物の小型焼却処理システムをも含むより具体的なメニュー作成を行う。
  (B)塩ビ含有廃プラスチックの熱分解による効率的な脱塩化水素技術と油化技術の開発について北海道工業開発試験所と共同研究を行う。
  この他、回収塩化水素の有効利用等についても調査・検討を行う計画です。

 

広報事業 −流通〜消費者まで幅広い層を対象に積極的広報活動を展開

  塩ビ樹脂および塩ビ製品に関する正しい知識の普及と、当協議会の活動内容に関する情報提供が広報事業の柱です。特に今年度は、流通・消費者を含むより幅広い層を対象に積極的な広報活動を展開していきたいと考えています。主な事業としては、1.PVCニュースの発行(年4回)、2.一般日刊紙等へのPR広告の掲載、3.展示会への参加、4.広報ビデオ「自然と叡知の結晶・塩ビ」の第2弾の製作などを計画しています。また、関連業界、消費者団体などへの情報提供の一環として講演会等の対外活動も継続していく予定です。

 

調査事業 −日本初の試み「塩ビのライフサイクル評価」などを実施

  今年度から新たにスタートする事業です。今後、一般的な調査(都市ごみ焼却による塩化水素の発生実験調査など)も含めて各種の調査を実施していく計画ですが、特に重要な取り組みとなるのが、塩ビのライフサイクル評価(LCA)です。この調査は塩ビの代表的な用途を選び、1.資源の利用度、2.原料→製造→消費→廃棄に至るまでの全工程の必要エネルギー、3.環境負荷、4.利便性などを総合的に評価・検討するもので、その内容を他の素材と比較することで、塩ビの有用性と環境保全への貢献度などを確認することが目的となっています。塩ビのLCA調査は、欧米にはいくつか実施例が見られるものの、日本では初めての取り組みと言えます。