1992年6月 No.1
 
 上下水道用のパイプや電線、建材、そして生鮮食品のラップフィルムなど今や私たちの生活に欠かすことのできないまでに浸透した塩ビ製品。でも塩ビという素材そのものについては案外知られていないことが多いようです。そうした塩ビの基礎的な知識(組成、特性、用途など)について、シリーズで解説していくのがこの「塩ビって何?」のコーナー。第1回はその成分について、意外な素顔をご紹介します。

60%は食塩から −石油は40%
   塩ビは「省資源型資材」です

  塩ビをはじめとするプラスチック類は、言うまでもなく石油で作られています。私たちの身の回りにはプラスチック製品があふれているため、一見すると、いかにも大量の石油を消費しているように見えますが、プラスチックの生産に使われるナフサは我が国の石油消費量(2億1284万kl)の14%ほどで、残りの85%は自動車や工場、発電所、暖房用などに使われています。
  特に塩ビの場合、あまり知られていないことですが、その成分の60%は食塩を原料とする塩素であり(石油は40%)、石油の消費量は全体の0.5%に過ぎません。もちろん、だからといってムダ使いしていいというわけではありませんが、塩ビが一般に考えられているほど石油を浪費する素材ではないことはお分かりいただけるでしょう。
  また、食塩を電気分解して塩素を製造する時一緒にできる苛性ソーダも重要な資源で、紙・パルプや石けん・洗剤、化学繊維など日常生活に不可欠な分野で広範囲に貢献しています。このように、塩ビはプラスチック類の中でも、優れて「省資源型」という特性を持っているのです。