2015年12月 No.95
 

「PVC Design Award 2015」受賞作品決定!

大賞は「日立ラップ ブルータイプ」(日立化成梶j&「テトラサーバー」(NDPチーム)

参列者の皆さん
軟質塩ビを素材としたものづくりコンテスト「PVC Design Award 2015」の受賞作品が決まりました。今回は、日立化成鰍フ「日立ラップ ブルータイプ」と、潟iショナルマリンプラスチック&梶本デザインオフィスがコラボしたNDP(ノリノリデザインプロジェクト)チームの「テトラサーバー」が、大賞を受賞したほか、他の受賞作も〈安心・安全・快適〉というコンテストテーマにふさわしい作品ぞろい。11月16日の午後、東京千代田区の如水会館でその表彰式が開催され、関係者が一堂に会して互いの健闘を称え合いました。

食品の安全性を
“目に見える安心”でサポート

【作品名】日立ラップ ブルータイプ
【一般名称】食品包装用ラップフィルム
【出品者】日立化成

選 評
食品に誤って混入した破片が見つけやすい業務用ラップ。食品の安全性、作業の効率化を“目に見える安心”でサポートしており、テーマとの整合性が高い。業務用のため世の中にあまり知られていないが、食材の仕分けなどにも使用でき、一般消費財としても評価できる。

日立ラップ ブルータイプ

「避難所の水がめ」、
従来にないコンセプト

【作品名】テトラサーバー
【一般名称】飲料水および簡易シャワータンク
【出品者】NDPチーム

選 評
避難所のための飲料水・シャワー水がめ。大人ふたりで運搬可能な正四面体の簡易型水タンクで、地面に置いて手足で本体を押したり、ぶらさげたりすることで飲料水やシャワーの水を供給する。ブラックタイプは太陽光で温水も供給できる。従来にないコンセプトで、テーマとの整合性とともにデザイン性も高い。

テトラサーバー
優秀賞3点、入賞17点。大きな収穫

 柔軟性、透明性など多彩な特長を持つ軟質塩ビ。その性質を生かした斬新なデザイン・製品を業界内外から公募するのが「PVC Design Award」。5回目となる今回は、全国から272点(デザイン提案186点、製品提案86点)の力作が寄せられ、うち22点が受賞作に決定(大賞2、優秀賞3、入賞17)。前回該当なしだった大賞作品も2作品選ばれるなど、収穫の大きいコンテストとなりました。
 表彰式では、実行委員長を務めた塩ビ工業・環境協会の宇田川会長が、各受賞者に表彰状と賞金(大賞は各50万円)を贈呈。また、日本プラスチック製品加工組合連合会と日本ビニール商業連合会により新設された奨励賞(卸・加工の視点から優れた作品を選考)4作品の表彰も行われました。

宇田川実行委員長
冒頭、挨拶に立った宇田川実行委員長(写真上)は、「5回のコンテストを通じ、川上から川下まで塩ビのサプライチェーンに関わる団体が協力して取り組んだことで、業界の一体感が深まり、世の中の塩ビに対する理解もさらに深まったと思う」と、継続してきたことの意義を強調しました。

来賓として出席した経済産業省製造産業局・福島審議官は、「塩ビの新しい用途を、メーカー、流通業、加工業が協力して振興することは、次の社会を形成する上で大きな意味がある。今回の受賞作品が一日も早く市場に出ることを期待する」と挨拶。 経済産業省製造産業局・福島審議官 同じく来賓挨拶した日本インダストリアルデザイナー協会の田中理事長は、「デザインとは、物事を捉えなおし、発見すること。限られた素材で新しい発見をするのは難しいが、このコンペは素晴らしい成果を上げている」と述べました。 本インダストリアルデザイナー協会の田中理事長
石橋勝利審査委員(AXIS編集長)の審査講評から
「会を重ねるごとに作品のクオリティが高まってきた。デザインとは、色や形だけのことではなく、課題を解決するアイデアや、素材を理解した上で、どう商品化して市場に出すかを計画することもデザインだ。今回の大賞2点は、いずれもそういう判断基準に適う作品だった。デザイナーとメーカーが企画段階から協力することが大切だと思う」
石橋勝利審査委員(AXIS編集長)
日立化成鰍フ渡邉敬嘉さん ナショナルマリンプラスチックの時田宗弘 梶本デザインオフィスの梶本博司
大賞受賞者の3氏が、喜びのコメント
 「ラップの厚みは髪の毛の5分の1。着色が難しく、3年苦労して商品化しました。今後も安心・安全をキーワードに、新しい製品を開発していきたい」(日立化成鰍フ渡邉敬嘉さん)
「3年後の創業70周年に向けて新しいものを開発しようと、チーム8名、そして梶本さんと一緒に頑張りました。それだけに受賞はうれしい」(潟iショナルマリンプラスチックの時田宗弘さん)。
「昨年も時田さんと組んで受賞(準大賞)しましたが、今回は社会に貢献するデザインという点で、心底満足できるものを作れたと思っています」(梶本デザインオフィスの梶本博司さん)
優秀賞には、防災頭巾になるレインコート「mo shi mo(もしも)」(下の写真左1)と、子どもの原寸マネキン人形「KIDS DESIGN TOOLS 3Dキッズモデル」(2)、「リフォジュール膜天井アコースティックシートタイプ」(3)の3点が選ばれました。(受賞作品および受賞者の詳細は「PVC Design Award」のサイトをご参照ください)
   
式後の懇親パーティでは、日本プラスチック製品加工組合連合会・時田会長の挨拶に続き、日本ビニール商業連合会・大沼会長の発声で乾杯。受賞者を囲んで歓談のひと時を過ごしました。
PVC Design Award 2015 主催団体
東日本・中日本・西日本プラスチック製品加工組合(日本プラスチック製品加工組合連合会)、日本ビニール商業連合会、日本ビニル工業会、塩ビ工業・環境協会

協賛
九州ビニール製品工業会

後援
経済産業省、 公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会