2014年9月 No.90
 

ヒットサンク(株)のお仕事拝見

塩ビレザーなど様々な椅子張り用資材を裁断・縫製して、
家具・オフィス品メーカーに納品

 
  広々とした縫製ルーム。パワフルなミシンで塩ビレザーも天然皮革もすばやく縫製します。
(右は塩ビレザ−製のクッションカバー)
 今回のものづくりの現場は、椅子張り用資材の縫製メーカー・ヒットサンク(株)(愛知県あま市七宝町、犬飼浩平社長)を訪問。塩ビレザーをはじめ、様々な資材を精密、迅速に裁断、縫製する、その見事な手際をとくと拝見。

●メーカーの手間を省くサービス業

仕事の内容を説明する犬飼社長

 ヒットサンク(株)は、椅子やソファ、ベッドなどに用いる家具張り用資材の販売大手・シンコー(株)(本社=愛知県名古屋市)の100%子会社で、同社の縫製部門として1983年に設立されました(設立時の社名はイスバリ(株)。1996年に現社名に変更)。
 「弊社の設立は、シンコーから原反(ロール状)で資材を購入されるお客様(家具メーカー、オフィス用品メーカー)の中に、縫製、裁断もやってほしいという要望が多かったため。お客様の手間を省くサービス業のようなもので、お客様から頂いた製品の型紙どおりに裁断、縫製して、納品するのが弊社の仕事です」(犬飼社長)
 同社が受注するのは、ソファ、オフィスチェア、結婚式や葬祭用のレセプションチェアなど、椅子張り用資材の加工が主体。素材としては、塩ビレザー、ソフトレザー(発泡ウレタンの合成皮革)、天然皮革、平織り、モケット(パイル織り)など椅子張り用資材として使われるあらゆる種類に対応しています。

●高品質とクイックデリバリーで勝負

自動裁断機(上)で、塩ビレザーも精密に裁断

 作業の様子を見学させてもらいました。最新の自動裁断機(大型重裁断と一枚切裁断)を駆使して進められる裁断作業、熟練の工人がミシンを並べて素早く仕上げていく縫製作業、いずれも精密で手際のよさを感じさせます。
 「メーカーの指示、型紙どおり手順に沿ってきっちり仕上げることが肝心。中国をはじめ、家具メーカー自体の海外生産が進む中では、品質のよさ、そして小ロット短納期に対応したクイックデリバリーこそ、弊社の勝負どころになる」(犬飼社長)
 塩ビレザーの扱いは全体の2割程度で、一時ダイオキシン問題などで腰折れした時期はあったものの、最近は少しずつ挽回の傾向にあるとのこと。塩ビレザーの今後について犬飼社長は「家具用資材としての塩ビレザーは長い歴史があり、縫製、裁断もしやすいが、応接セットなどは、中国から本革のセットが安価に入ってくる時代。革に比べて手入れも簡単な塩ビは、消毒薬などの薬品に強いといった付加価値を高めていけば、一般家庭より病院などの公共施設でより長所が生きる思う」と指摘しています。