2013年3月 No.84
 

東京・大阪でJPECセミナー連続開催

「シェール革命とは何か」をテーマに、伊原賢博士が講演(東京セミナー)

 
伊原博士(写真右上)の講演の模様
 塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)が主催する会員団体・企業向けのセミナーが、東京(2月18日、中央区・八重洲冨士屋ホテル)と大阪(2月25日、大阪市・阪急グランドビル)で連続開催されました。東京のセミナーでは、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)上席研究員の伊原賢博士が「シェール革命とは何か」と題して講演。注目の新エネルギーの可能性などを説明しました。東京セミナーの模様を中心に概要をレポートします。

●大きな可能性を秘めるシェールガス

<拡大図>

 セミナーでは、まず塩ビ工業・環境協会(VEC)の一色実環境・広報部長が「塩ビをめぐる最近の状況」をテーマに、日本の塩ビ出荷状況や世界各国の需要動向、ものづくりコンテストをはじめとする新たな取り組みなどについて説明。この後、およそ2時間にわたって伊原博士の講演が行われました。
 シェールガスとは、頁岩(けつがん)(shale)層に含まれる天然ガスで、地下数百〜数千メートルという従来のガス田とは異なる場所から採掘されることから、非在来型天然ガスと呼ばれます。
一色部長
 講演の中で伊原博士は、「従来は取り出すことができなかった非在来型の天然ガスが、技術の進歩で採掘可能になった。非在来型ガスの原始埋蔵量は32,560兆立方フィートと考えられるが、うち4分の1(約8,000兆立方フィート)が採掘可能とすれば、現在世界で1年間に消費する在来型天然ガス(約100兆立方フィート)の80年分を賄えることになる」「2005年頃からシェールガス革命が始まったアメリカでは、大手石油会社の参入が相つぎ、天然ガス自動車(NGV)の普及促進法が連邦議会に提出されるなど、政策にも影響を与えている」などと、その存在感の大きさを説明。その上で「エネルギーという点から考えれば、シェール革命は原発再稼動の是非や電力・エネルギー問題を語る上で前提かつ必須の知識になってきている」と指摘しました。

●大阪セミナーでは広島大・升島教授が講演

升島努教授の講演風景

 なお、大阪のセミナーでは、広島大学大学院 医歯薬学総合研究院の升島努教授が、「電気自動車i-SAVEの開発に学ぶ」と題して、塩ビ製エアバッグを使った軽量安全・新衝撃吸収空気ボディー車の開発状況や苦労話などを紹介しました。