2011年3月 No.76
 

豪州グリーンビルディングGreen Starクレジットの動向

塩ビの使用に対しポイント。2010年10月から新Green Starがスタート

東京会場の模様
 グリーンビルディングというと、日本では建築物総合環境評価システムとしてCASBEEが知られています。同じように、豪州では、豪州グリーンビルディング協会(GBCA)の提唱するGreen Starという評価ツールが運用されていますが、そのツールに塩ビ建材をめぐって新たな動きが出ているようです。2月に開催されたJPEC講演会(東京2月2日、大阪2月3日)で、豪州塩ビ協会のソフィー・マクミラン専務理事から詳細が報告されました。

●塩ビ代替品の使用は環境改善に繋らない

 豪州では、GBCAは、これまで塩ビを使用しないことに対してクレジットを与えていました。しかしながら、塩ビを使用しないことで環境に良いことを演出しようとしたシドニーオリンピック(2000年)後の調査によれば、塩ビ代替品の使用により1670万豪ドルの負担増になった上、その代替の結果が必ずしも環境に良いことではなかったことが明らかになりました。

マクミラン専務理事

 このため、豪州の塩ビ協会は、木、鉄鋼、コンクリートなど他素材の業界と共に、建築の分野における持続可能性はどうあるべきか、塩ビの環境側面はどのように評価されるべきかについて、GBCAと対話を継続するとともに、建材の環境性能に関する評価ツールの見直し作業(レビュー会議)に参画してきました。その結果、GBCAは、塩ビ代替品を使ったからといって環境面での改善に繋がらなかったことを率直に認め、これまでの方針を180度転換し、「ベストプラクティスガイドライン(BPG)に沿った塩ビの使用に対しポイントを与える」というPVC Green Star Credit制度を2010年10月からスタートさせることとなりました。
 BPGには、塩ビ樹脂の製造から廃棄段階までの管理が含まれており、塩ビ製品について第三者による認証を得る必要がありますが(水銀の不使用、リサイクルの確保など)、塩ビ業界は関連する36社で組織したProduct stewardshipを推進し、環境面についてコミットメントしていくとのことです。
 塩ビの環境性能を積極的に評価しようとする動きは、国際的な広がりを見せつつあります。既に、ニュージーランドと南アフリカのグリーン・ビルディング協会が、この豪州のPVC Green Star Creditに関心を示しており、それぞれの国の実情を踏まえた規格作りをしているとのことです。

Green Star 評価の仕組み