2007年6月 No.61
 

大臣室の窓も、「樹脂サッシ」で断熱リフォーム

環境省がモデル施工第2弾。「温暖化防止の切り札」普及を後押し

 塩ビサッシ内窓の追加施工による2重サッシ化で、建物開口部(窓)からのエネルギーロスを大幅に低減する樹脂サッシ。環境省は、昨年10月のモデル施工に続いて、このほど大臣室などの幹部執務室に樹脂サッシを追加設置。環境省によるこの一連のモデル施工により、一般のビルや家屋でも、温暖化防止の切り札・樹脂サッシの普及が加速しそうです。

●実測調査で断熱効果を確認

樹脂サッシで断熱リフォームされた環境大臣室

  地球温暖化の危機回避へ向けて、CO2など温室効果ガスの削減に取り組む環境省。その環境省が、省エネ対策のひとつとして大きな期待を寄せているのが、樹脂サッシによる建物の断熱リフォームです。昨年10月には、東京霞が関にある合同庁舎5号館23階と26階のオフィス20窓、約200m2に内窓タイプの樹脂サッシ(既設のアルミサッシの内側に付設するタイプ。詳細は次頁参照)をモデル施工。他省庁に先駆けて、樹脂サッシによる“冬期間の無暖房化”を実践したことは、関係者の間で大きな話題を集めました。
  また、今年1月には、樹脂サッシの内窓を施工したことで実際にどれだけの断熱効果が得られたのかを明らかにするため、省内の一室を使って実測調査を実施。化学専門のインターネット通信・ケムネット東京の記事(5月9日付け)によると、樹脂サッシを長時間開放した場合と閉め切った場合とでは、室内の温度差が日中で平均2.7℃、最大4.6℃の温度差に達することなど、その効果の大きさを具体的に確認しています(下記参照)。
  3月にスタートした第2期工事は、この第1期工事の省エネ効果測定結果を踏まえて行われたもので、新たに樹脂サッシの内窓が施工されたのは環境大臣、副大臣、審議官など24階の幹部執務室の25窓、約160m2。環境省では今回の採用拡大を機に、一般のビルや住宅の省エネ対策としても、「樹脂サッシによる断熱リフォーム」の効果が大きいことをより積極的にアピールしていく考えです。
  去る3月30日に閣議決定された政府の「新実行計画」でも、「複層ガラスや2重サッシの導入」により各省庁舎等の政府関連施設の断熱性能向上に努めることが明記されるなど、温室効果ガス削減に向けた樹脂サッシの役割は、今後急速に拡大していくものと考えられます。

日中で最大4.6℃の温度差‐断熱性能実測調査の結果から
(ケムネット東京の記事から引用)

大臣室に設置された樹脂サッシ

 環境省が実施した断熱性能実測調査は、昨年10月に樹脂サッシ内窓を施工したオフィスのうち、冬場の外気の影響が大きい23階北側の部屋(暖房なし)について、内窓を長時間開け放しにした場合と閉じた場合、それぞれの室温を測定し、その温度差から樹脂サッシの断熱効果を明らかにしたもの。試験期聞は1月15日〜21日の1週間。
 調査結果によると、樹脂サッシを開放し続けた場合の日中の平均室温は20.7℃だったのに対し、閉じた場合は23.4℃と、樹脂サッシの施工によって平均2.7℃の断熱効果が得られること、さらにピーク時にはその温度差が4.6℃にまで広がることを確認。また、夜間の温度差も平均で3.6℃、外気温が最も下がる時間帯では4.7℃に達するなど、樹脂サッシの優れた断熱性能が改めて実証された形となっています。