2005年6月 No.53
 

 日本製鋼所の脱塩素処理システムにFSRJ技術功績賞

  コンパクトな設備で塩ビ分別不要の廃プラスチックリサイクルを実現

 

    (株)日本製鋼所(JSW/本社=東京都千代田区有楽町)が開発した「二軸押し出し方式による廃プラスチック脱塩素処理システムの開発と事業化」が、プラスチック化学リサイクル研究会(FSRJ/阪田祐作会長)の平成17年度表彰で技術功績賞を受賞。5月26日午後、早稲田大学理工学部大久保キャンパスの会議室で表彰式が開催されました。  

ユーザーからも高い評価

  日本製鋼所は、産廃系廃プラスチック脱塩素技術の共同研究などで、塩ビ業界にとっても重要なパートナーと言える会社です。
 今回表彰を受けた同社の「二軸押し出し方式による廃プラスチック脱塩素処理システムの開発と事業化」は、塩ビ混入廃プラスチックを脱塩素化して燃料用のペレットを製造する技術で、脱塩素工程に同社が誇る二軸押出技術を採用、廃プラスチックを加熱、混練しながら迅速に塩化水素ガスを脱揮できるため、小規模な設備で効率よく処理できる点が最大の特長。既に神戸製鋼所の高炉原料化システムなどに採用され大きな効果を上げており、「日本製鋼所の設備導入により当社の廃プラリサイクルは大幅に促進された。また、二酸化炭素の排出抑制にも一層の効果が期待できる」(神戸製鋼所)と高い評価を受けています。

 

期待される廃プラリサイクルの促進

  表彰式では、選考委員長を務めた佐藤芳樹金沢大学教授が「塩化ビニル樹脂のみを分別することなく、有姿のままで処理できる本技術は、現在のニーズに対応できる技術であり、今後、益々その価値の高まりが予想される」と講評を述べたのに続いて、日本製鋼所機械事業部の村尾孝一副事業部長に阪田会長が表彰状と記念の盾を贈呈。また、表彰式後の記念講演会では、研究開発本部機械研究所の千村禎主任研究員がシステムのポイントを解説しました。
 「当社はもともと押出機を製造する動脈産業に取り組んでいるが、廃プラスチックのリサイクルにも積極的に取り組んでおり、今回の脱塩素設備により静脈産業までを含む循環型の製品構成を更に広げることができた。10年掛かりの開発だったが、実際に製品を世に出して社会貢献できたことが何よりもうれしい」(千村主任研究員)
 日本製鋼所の脱塩素技術が学術的に高い評価を受けたことで、塩ビを含む廃プラスチックのリサイクル、引いては循環型社会構築へ向けた取り組みが一層促進されることが期待されます。

 

プラスチック化学リサイクル研究会とは―

 廃プラスチックのケミカルリサイクル研究に携わる産官学の研究者が結集して、「既存技術の発展」「新規技術の開発」などを目的に平成10年7月に設立した学術団体で、活動の一環として、優秀な研究・技術開発の成果を顕彰する表彰制度を昨年から実施しています。表彰は功労賞、功績賞、進歩賞など4部門で、今回日本製鋼所に贈られた技術功績賞は、「プラスチック化学リサイクルに関する技術の進歩発達に顕著な実績をあげた者」に授与されるもの。