2004年12月 No.51
 

 「LCA的に塩ビは問題なし」独PE社が欧州委員会に報告

   ―「塩ビ代替素材と塩ビとのLCAからみた比較検討」

   塩ビ忌避の見直しを迫る重要レポート。日本国内でも多方面にインパクト 

  LCA的に見て塩ビを排除すべき正当な理由はなく、短絡的に他素材への代替はすべきでない―。ドイツのPE Europe社は2004年4月、欧州委員会の依頼で実施した「塩ビ代替素材と塩ビとのLCAからみた比較検討」に関する報告を同委員会に提出。ヨーロッパにおける塩ビ忌避の動きの見直しを迫るその内容は、日本国内でも多方面に大きなインパクトを与えることが予想されます。

 

 

● 3年がかりで調査、分析作業

  PE Europe社は、環境問題に関するヨーロッパ有数のコンサルタント会社で、自動車、機械、電子・電気、建設、リサイクル産業など多岐にわたる業界を顧客とするほか、アメリカと日本にも活動拠点を持っています。
 今回のレポートは、2000年7月に欧州委員会が「塩ビと環境問題に関する緑書『Green Paper』を策定した際、欧州議会との間で「塩ビの代替素材についても検討すべきこと」「塩ビに関する既存のLCA評価(ライフサイクル・アセスメント)についても可能な限り客観調査を行うこと」などが取り決められたのを受けて作成されたもの。欧州委員会の委託を受けたPE Europe社は、作業に当たってコンソーシアム(企業連合体)を結成、塩ビ関するLCA調査・研究約230編の中から35編を選び出し、およそ3年の歳月をかけて調査、分析を行った後、2004年4月に報告書を委員会に提出しています(6月に同社のホームページ上で一般公開。http://www.europa.eu.int/comm/enterprise/chemicals/sustdev/pvc.htm)。


 

 

● 他素材より不利な点はない

  報告のポイントは以下のとおり。
  1. LCA的に見て、塩ビを排除しなければならない正当な理由は全く無く、他の素材と比較して、塩ビが全体的に不利となるような点は見当たらない。

  2. 塩ビについてYESかNOかを短絡的に問うことは、誤った結論に導く。塩ビは他の素材と同様に強みと弱みを持っており、その強みと弱みは、塩ビと木材といった素材単体の比較ではなく、塩ビ窓枠と木材窓枠といった用途別に論じられねばならない。

  3. 塩ビの代替素材については、全life-cycleにおける技術的、経済的視点からその優位性が証明されなければならない。それが明らかにされない限り、塩ビから他の素材への代替や使用禁止等はなされるべきではない。

  4. 塩ビのリスクは、可塑剤、安定剤といった添加物、或いはその用途(乳幼児用玩具)に関連しているが、そのリスクは対処可能なものである。可塑剤に関しては、用途が乳幼児用玩具の場合と屋根材の場合とでは評価も異なってくる。

  5. 使用済み塩ビの埋立、焼却問題は既に議論済みとなっている。埋立地での環境負荷は問題とするほどではないし、焼却に関しては高度な技術を用いることにより解決できる問題と認識されている。

 以上の報告は欧州委員会でそのまま受け入れられています。今回の報告は、日本の塩ビ業界にとってもその将来を左右する極めて重要なものであり、国内の塩ビ忌避の動きに転換を促す可能性も大きいといえます。