2004年3月 No.48
 
 

★好評、慶應義塾大学の環境セミナー
   「プラスチックから環境を考える」

 4回連続の公開講座。学生、市民がプラスチックの基礎知識と環境問題の現状を学習

 
  慶応義塾大学の環境セミナー『プラスチックから環境を考える』が、昨年11月29日〜12月20日まで、計4回にわたり同大学日吉キャンパスで開催されました。プラスチックの基礎知識と環境問題の現状を、大学生や一般市民に正しく理解してもらおうという目的で企画されたもので、各界の専門家による最新の研究成果や活動事例の報告に、参加者から好評の声があいつぎました。
 

 

●塩ビ製品のリサイクル状況の紹介も

 
 プラスチックと環境をテーマにした公開セミナーは、昨年5月〜6月にかけて開かれた法政大学の「プラスチックを通じて“グリーン・プロダクツ”を考える」に続いて2回目。開催に当たっては、前回同様、塩ビ工業・環境協会(VEC)をはじめとするプラスチック業界が全面的な協力を行っています(企画=慶應義塾大学理工学部/(株)テムス)。
 セミナーでは、毎回、大学の研究者や自治体関係者、プラスチック業界関係者など各界の専門家が、最新の研究成果やリサイクルの取り組み事例などを報告。VECからも信越化学工業の木下清隆氏(写真)が第2回講座に参加し、さまざまな塩ビ製品(農業用ビニル、塩ビ管、電線被覆など)のリサイクルの現状などを紹介して、塩ビ業界の環境活動に対する理解を求めました。
 閉講後、参加者からは「企業の努力を知ることができ、以前よりプラスチックについて関心が高まった」などの感想が数多く寄せられており、今回のセミナ−が、参加者にとってプラスチックの環境問題についての理解を深める貴重な機会となったことをうかがわせています。
 参加した学生の感想をご紹介します。
 
 今回のセミナーを通じて私が最も強く感じたことは、環境問題による悪影響を理解した上でどのような活動をするべきかという意識を一般の人々にどれだけ広く深く浸透させることができるかということです。
 環境問題が我々の生活に及ぼす悪影響に関しては、公害の深刻化、オイルショック、地球温暖化問題、オゾンホールの出現などから3,40年ほど前から様々なことが言われてきています。そのため、現在では環境問題による悪影響が多くの人々に理解されていることは疑う余地はありません。しかしながら、人々がその上で何か有効な活動を起こしているかというと、その点に関しては疑問が残ると私は思います。確かにゴミの分別などに成果は見られるが、この類の活動を多くの人々が煩わしく思っているのも事実ではないでしょうか。そのことはペットボトルの回収に端的に見て取れます。
 一方、産業界や自治体は様々な活動に取り組んでおり、メディアに取り上げられることも多く、今回のセミナーでも幾つかの事例が紹介されました。私がかねてから不思議に思うのは、この両者のギャップに関してです。つまり、産業界や自治体がどれだけ努力をしても、一般の人々も同様に有効な活動をしていかない限り、その努力は半減してしまうと思います。おそらく一般の人々は、環境問題への意識は高まったものの実際に何をすべきかを考えることがなかったり、考えても分からないことが多いのではないでしょうか。そのためにも、私は今回のセミナーのようなものを開催したり、教育現場などでもこの類の問題を取り上げることが非常に有効であり必要不可欠でもあると思います。 (修士課程1年生)