2000年3月 No.32
 

 「環境パフォーマンス評価」「容器包装リサイクル法」をテーマに2氏が講演

   環境問題をテーマとする当協議会主催の講演会が、昨年の12月から今年1月にかけて連続開催されました。講演のポイントをご紹介します。  

 2.容器包装リサイクル法について

通商産業省基礎産業局化学課 石油化学班長 福田 敦史氏 

容器包装リサイクル法完全実施の枠組み

  一方、年が明けて1月25日に行われた講演会「容器包装リサイクル法について」(会場=東京都港区・虎ノ門パストラル)では、通産省の福田班長が、4月から完全実施となる容器包装リサイクル法の実務上の留意点などについて詳細な解説を行いました。
 法律の完全実施に伴い、塩ビの容器包装も「その他プラスチック」のひとつとして再商品化が義務づけられることになりますが、その他プラスチック全体では、初年度(平成12年度)における分別収集見込量23万9,000トンのうち約14万3,800トンが再商品化義務総量に設定されています。
 特定事業者(再商品化義務の対象となる容器メーカー、中身メーカー、流通業者)が指定法人(財団法人日本容器包装リサイクル協会)に支払う委託単価は、その他プラスチックの場合1kg当たり105円で、特定事業者は一定の算式に基づいて算出した自社の再商品化義務量に委託単価を乗じた料金を支払うことで、再商品化義務を履行したと認められることになります。
 また、再商品化の方法としては、図のとおりマテリアルリサイクル(プラスチック原材料等)をはじめ、油化や高炉還元などが含まれています。
 福田班長は、以上のような法律の枠組みについて要点を説明した後、今後完全実施後に発生する実務上の問題として分別収集促進のための表示の問題に言及し、以下のような見通しを示しました。

 

表示問題の見通し、プラ材質表示実施へ

  「表示問題については、関係者から構成される容器包装識別表示等検討委員会により昨年の11月に報告書がまとめられており、その後12月の産業構造審議会容器包装リサイクル小委員会において了承されている。これによれば識別表示(法の対象か否か、及び紙かプラスチックかを識別する表示)と材質表示(同一素材中の種別表示。ポリエチレン、塩ビなど)に大別される。識別表示はその他紙とその他プラスチックがいずれも対象となり、原則としてマーク表示とする。材質表示は紙を除き、プラスチックについて実施することが検討されており、現時点では法律による義務づけはせず、事業者の自主的な取り組みを促していく考えだ」。
 識別表示は法制化される方向ですが、事業者の負担軽減のため施行から2〜3年間の猶予期間が設けられる見通し。但し、猶予期間内であっても「事業者が自主的に識別表示を実施することが望ましい」とされています。また、「紙とプラスチックが多重に使用されていて分離可能な容器包装や、表示スペースなどの物理的制約への対応、複合素材や多種類容器への対応、輸入商品の取扱いなどの個別の課題については、なお細部についての検討が必要」としています。
 材質表示についても、様々なプラスチックを使った複合材質の取扱い、あるいは表示の表記方法の問題(消費者に分かりやすい日本語表記方式か、国際整合性を重視したJIS方式にするか)などについては、今後さらに検討が進められることになっています。
 通産省では、これらの個別課題を検討する機関として、昨年の暮れに「表示検討ワーキンググループ」を設立しており、今春3月〜4月を目処に容器包装識別表示等検討委員会に対して中間報告を行う予定。講演の最後には、福田班長と参加者との間で実務面の細かな疑問点などについて質疑が交わされ、法律の完全実施に向け手落ちのないよう万全の体制で臨もうとする塩ビ業界関係者の熱意をうかがわせました。