1998年3月 No.24
 
塩ビ管リサイクルで建築業界と当協議会が交流

(社)建築業協会と勉強会やリサイクル現場の見学会、将来は共同研究の可能性も

  

  塩ビパイプ・塩ビ建材のリサイクル推進をめざして、昨秋以降、建築業界と塩ビ業界の交流が進んでいます。(社)建築業協会と当協議会のメンバーが勉強会や見学会を相次いで実施するなど、将来的には共同研究の可能性も出てきました。

 

■ 大水産業の再生塩ビパイプ作りを見学

 
  (社)建築業協会は大手ゼネコンなど85社で構成される業界の中核組織です。同協会では現在、建築廃材を14種類に分別して処理に当たっていますが、廃プラスチック類は識別が難しいために、分別回収されているのは唯一塩ビパイプだけで、それも一部がリサイクルされるほかは、多くが処分場に埋め立てられているのが現状です。
  こうした状況下で、当協議会と建築業協会の副産物部会第3分科会(再生利用推進の研究を担当するセクション)では、塩ビパイプおよび塩ビ建材のリサイクルに関し両者の協力のあり方を探る目的で、昨年10月に意見交換のための勉強会を開催。「メーカーとユーザーだけでなく、中間処理業者やリサイクル業者との連携も必要」との判断から、双方の推薦する中間処理・リサイクル業者の現場を視察することとなり、昨年12月18日にはその第1弾として見学会が実施されました。
  訪問先は、本誌でもたびたび取り上げてきた埼玉県浦和市の再生塩ビパイプメーカー・大水産業(株)で、建築業協会からは白井俊夫副部会長、第3分科会の石井潔主査(株式会社フジタ)ら6名が参加。一行は当協議会の西村義信運営委員長らの案内で、使用済みパイプの搬入〜粗粉砕までを担当する本社工場と、微粉砕〜パイプの成形までを行う茨城県の八郷工場を順に見て回りましたが、終了後、石井主査は「再生塩ビパイプのメーカーがあると聞いてぜひその現場を見たいと思っていたので、今日の見学会は非常に参考になった」と感想をもらしていました。
 

■ 建設廃棄物中間処理の現場で意見交換

 
  続いて年明け後の2月5日には、西村委員長ら当協議会のメンバーに大水産業の佐藤専務をまじえた6名が、建設廃棄物の中間処理業者であるワイエム興業(株)の草加リサイクルセンター(埼玉県草加市)と、新和土木(株)の吉川リサイクルセンター(埼玉県吉川市)の2カ所を見学。
  両社は主にビル建設現場から出る廃材のリサイクルと端材の焼却処理などを行っている会社で、塩ビパイプについては、手選別で分別した後、リサイクル業者に引き渡し、その中で汚れのひどいものは埋め立てに回しています。また、塩ビパイプ以外の廃プラスチックも分別の後、減容固化されて埋め立てられます。
  中間処理業者からは、「パイプ以外の塩ビや混合廃プラの焼却を進めるには脱塩化水素の技術開発が望まれる」といった意見も示されましたが、建築業協会との交流について西村委員長は、「建設会社はモノを集めるルートづくりの情報や知恵をいちばん持っている。一連の見学会をきっかけに、塩ビパイプリサイクルへ向けて共同開発、共同研究の方向に歩み寄れれば幸いだ」と期待を示しており、今後も引き続き両者の間で情報交換などの交流が活発に進められることになりそうです。