2024年04月 No.121 

広報だより

「樹脂窓リサイクルビジョン」を策定

 樹脂窓とは、窓枠が塩ビでできた窓のこと。断熱性と気密性に優れているため、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて日本でも普及が進んでいます。
 しかし、国内では、役目を終えて廃棄された樹脂窓の大部分が、埋立て処分されているのが現状です。この社会問題に取り組むため、塩ビ工業・環境協会は、(一社)日本サッシ協会および樹脂サッシ工業会と協力して樹脂窓リサイクル検討委員会(委員長:東京大学 清家剛教授)を発足し、活動が実効的なものとなるよう、「樹脂窓リサイクルビジョン」を定め、2024年1月に公表しました。

グラフ:北海道における樹脂窓の出荷量と排出量の推移
北海道における樹脂窓の出荷量と排出量の推移(※1)
1980年代から、北海道などの寒冷地域を中心に使われ始めた

(※1)磯部孝行・清家剛・金容善,樹脂窓の再資源化システム構築に関する研究 北海道における廃棄された樹脂窓の実態調査及び排出量予測,日本建築学会学術講演梗概集,材料施工,pp.1381-1382,2014年,日本建築学会

樹脂窓リサイクルは、CO2排出量の削減にもつながる

 樹脂窓の窓枠は塩ビで作られているので、マテリアルリサイクルが可能な建材。欧州や韓国などの海外では、すでに使用済み樹脂窓のリサイクル事業が広く行われています。樹脂窓リサイクルは、埋立量だけでなく、CO2排出量の削減にもつながると期待されているのです。

図
樹脂窓のリサイクルにより、
CO2排出量が約12%削減されることを図示
(ドイツ DEKURA社のHPより抜粋)

リサイクルの仕組みづくりを通じて、回収拠点や異物選別プロセスを実用化する

 2020年度より、北海道で使用済み樹脂窓を回収する実証実験を開始。自治体や各事業者と協力し、回収拠点となる受入協力企業を選定しました。また、塩ビ以外で出来ている部品由来の素材を選別・除去するリサイクルラインも検討中です。
 こうした活動によって、再生原料を使用したリサイクル製品の開発や、将来的には分別し易い環境配慮設計での製品開発を進め、樹脂窓リサイクルの確立を目指しています。