1994年9月 No.10
 

 平成6年度事業計画の概要

  塩ビの再利用モデルシステムづくり支える4作業グループ+広報・調査事業

  

 

    ビニルリサイクル推進協議会の平成6年度事業計画が決まりました。ここでは、取り組みの核となる4つのワ−キンググル−プ(WG)と広報・調査の2事業について要点のみを簡単にご紹介してみます。  

 

塩ビボトルリサイクルWG −地域回収実験を拡大、年間回収量50トンに

  今年度は、減容機ボトルボーイの増設と地域回収実験の拡大などにより、使用済みボトルを年間50トン程度回収できるシステムづくりに取り組みます。
  1.ボトルボ−イについては、塩ビボトルの大量消費地である東北、中京、九州の3地区で既に13台稼働していますが、今年度はさらに2台を新設し(秋田・三重)、計15台で年間20トンの処理をめざします。
  2.現在、地元の回収業者などと連携して福島県で進めている地域回収実験を中京・九州地区に拡大、全体で年間30トンの回収を目標とします。
  3.このほか、回収〜再生までのシステム全体の経済性評価、新たな再生用途の開発なども計画しています。

 

卵パックリサイクルWG −東西の微粉砕拠点を完成、減容機も増設

  回収拠点の拡大、減容機パックマンの増設、微粉砕拠点の整備の3事業を組み合わせて、モデルシステムの検討を進めます。
  1.岡山市民生協(岡山、倉敷の7店舗)、サニ−ス−パ−チェ−ン(長野13店舗)、東金GPセンター(千葉)の協力で実施している卵パック回収実験を継続します。回収量は3地域で1カ月500kg程度を目処とします。
  2.現在、岡山市民生協から依頼を受けた「消費者が自分で操作できる店頭設置型減容機」の開発に取り組んでおり、これが完成すれば同生協の全店舗に設置する予定です。
  3.微粉砕設備については、既に昨年度から稼動している茨城県(清田商店)の設備に加えて、今年度は西の拠点として滋賀県(株式会社・菱栄)に設置する予定。これで東西の微粉砕拠点が完成することになります。
 

 

塩ビ管リサイクルWG −微粉砕技術の研究、回収業者の実態調査など

  当WGでは、建築現場などから排出される廃塩ビ管のリサイクルをめざして活動を進めています。今年度の主な事業は次のとおりです。
  1.リサイクル技術の研究・開発に取り組みます(微粉砕技術および微粉砕品の成形技術の研究)。
  2.回収、再生業者の実態調査を実施します(実態調査に基づく回収システムの検討)。
  3.再生塩ビ管について塩化ビニル管・継手協会規格化の検討を行います。

 

エネルギ−・資源回収WG −焼却前の脱塩化水素技術を共同研究

  当WGがめざす無公害焼却モデルプラントづくりの試みも2年を経過してさまざな成果を上げてきました。
  1.昨年度は、化学工学会への委託調査で「塩ビを含む廃プラスチックを焼却あるいは油化する場合は、塩化水素をあらかじめ回収しておく方法が有効」との報告を得ていますが、今年度はこの脱塩化水素技術について具体的な見通しを得るため、プラントメーカーと共同研究を進めます。
  また、回収した塩化水素の有効利用や残りの炭化物の有効利用についても技術の調査と開発を行っており、油化技術の開発などにも取り組みます。
  2.昨年度化学工学会に委託して研究を行った「塩ビを含む廃プラの熱分解法による燃料ガス化とその高カロリー化の実証実験」については、プラスチック処理促進協会が今年度の研究テーマとして引き継いでいます。
  3.この他、小型焼却システムの開発などにも引き続き取り組みます。

 

広報事業 −PVCニュースや展示会で塩ビの正しい知識を普及

  広報事業は、塩ビ樹脂および塩ビ製品に関する正しい知識の普及と、当協議会の活動に関する情報提供を目的としています。今年度の主な事業としては、
  1.PVCニュ−スの発行(年4回)
  2.業界紙等への意見広告の掲載(年7回程度)
  3.展示会への参加(′94 廃棄物処理展ほか)
  4.広報ビデオ「自然と叡知の結晶・塩ビ」の利用拡大などを計画しています。

 

調査事業 −我が国初の試み「塩ビのライフサイクル評価」最終報告へ

  調査事業は昨年度からスタ−トした事業です。
  1.今年度は、「塩ビのライフサイクル評価(LCA)」について、来春までに報告をまとめる予定です。この調査は塩ビの代表的な製品5種類について消費エネルギー、環境負荷、利便性、経済性などを総合的に検討するもので、昨年から検討を進めてきました。
  2.このほか、都市ごみ焼却時の塩化水素ガス分析、各リサイクルの経済性調査、Q&A作成、関係文献のリスト作成などにも取り組みます。