1992年9月 No.2
 

 進む、塩ビボトルのリサイクル実験
  
醤油メーカーと初の連携

    小型減容機ボトルボーイの共同試運転を実施

 

    6月からスタートした「PVCニュース」。創刊号では当協議会の目的と組織(4つのワーキンググループ)について概括的なお話をご紹介しましたが、今号からはよりニュース性の高い、フレッシュな話題にテーマを絞って皆さんにお知らせしていきます。今回取り上げるのは、前号でもご紹介した塩ビボトルリサイクルワーキンググループの最新情報。減容機「ボトルボーイ」の開発をテコに、食品メーカーとの連携で進められるリサイクル・システム作りの現状をご報告します。  

 

九州最大手の「富士甚グループ」が全面協力、広がる「リサイクルの輪」

  塩ビに限らず、資源のリサイクルを進める上では、関連業界(加工や流通など)や消費者との協力関係を作り上げることは最も重要なポイントのひとつです。この、言わば「リサイクルの輪」を着実につなげていくことができるか否かで、事業の成否が決定すると言っても良いでしょう。
 「塩ビボトルリサイクルワーキンググループ」は去る7月、九州最大手の醤油メーカー「富士甚グループ」(本社=富士甚醤油株式会社 渡邊廣人社長・大分県臼杵市唐人町)と共同で、小型減容機「ボトルボーイ」の試験運転を実施しました。ユーザーである醤油業界との間に初めて「リサイクルの輪」がつながったことで、塩ビボトルの再利用計画はその完成へ向けまた一歩ステップアップ。同グループでは今後も醤油メーカーなど食品業界との連携により、同様の実験を全国各地区で進めていく予定です(なお、同グループでは来たる10月1日〜3日に開催される「エケコム ′92」<10頁参照>の会場において、1日3回、ボトルボーイのデモントレーション運転を実施する予定です。ぜひご来場下さい)。

 

1時間で醤油ボトルなど500本を処理、メーカーもボトルボーイ実用化に期待

  ボトルボーイは、前号でもご紹介したとおり、使用済み塩ビボトルを粉砕・洗浄して、約15分の1のフレーク状に減容化する機能を持つ小型の設備で、空間率の高い塩ビボトルを効率良く回収してリサイクルにつなげていくための技術的基盤となるものです。
  「富士甚グループ」と共同のボトルボーイの試運転は、去る7月17日、同グループ傘下の加工食品メーカー「サンアスベルフーズ株式会社」(大分県臼杵市大字末広)の工場敷地内で行われました。
 この日は、およそ1時間にわたって、醤油や調味料などの使用済み塩ビボトル44kg(約500本)が処理されましたが、これはボトルボーイの通常の処理能力(20kg/1h)のほぼ時間分に当たる量。こうした高速運転は、今回のような短時間運転時に際してフル稼働させた場合に限られますが、機械の上部から投入された塩ビボトルがわずかな時間で減容化 されたフレークの山となっていく様子に、参加者の間からは「作業も簡単だし、実用化の可能性は十分にあると思う」という声も上がり、この新技術に対する高い期待をうかがわせていました。

協力態勢作りへ全面協力の意向

  「富士甚グループ」が当協議会の働きかけに応えて今回の共同試験に参加したのは、同グループが醤油ボトルなどのリサイクルにかねてから高い関心を持っていたためです。
 サンアスベルフーズの杉木宏行工場長は、「環境問題への対応は当グループの理念として明記されているテーマだが、現在は近所のセメント工場に費用を払って焼却処理を請け負ってもらっている。しかし、資源の有効利用として、また消費者へのイメージアップという意味でもリサイクルするに越したことはない。ボトルボーイについては、規模的にもまだ改良の余地があると思うが、リサイクルの取り組みをスタートさせて間もない割には、塩ビ業界はずいぶん素早く対応しているなという印象を受けた。この減容化技術を軸に、もし安定した回収システムが完成できるのであれば、我々としても全面的に協力していく用意がある」 と、今後の協力態勢作りにも、グループ全体として積極的に対応する意志があることを語ってくれました。
 

 

11月から全国10カ所で試運転実施 −協力者との連携でシステムの完成目指す

  なお、塩ビボトルリサイクルワーキンググループでは、11月までにボトルボーイを更に10台増設し、醤油メーカーを中心とした食品業界と共同の試験運転を拡大継続していく予定で、9月中には関東、中京、近畿など地区ごとに協力業者と設置場所の選定を終了することになっています。当協議会では、こうした協力者との連携を通じ「リサイクルの輪」をひとつひとつつなげていくことで、塩ビボトルのリサイクルシステムの完成へ向け着実な活動を続けていきたいと考えています。